中国の経済成長率、実態は6%前後か=バブル崩壊や金融危機の可能性は?―柯隆・富士通総研主席研究員

八牧浩行    2015年1月20日(火) 6時30分

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19日、中国経済に詳しい柯隆・富士通総研主席研究員は日本記者クラブで講演し、「習近平国家主席は構造改革を推進しているが、大手国営企業の問題に手をつけられないでいる」と指摘。 中国の経済成長率の実態は6%前後ではないかとの見方を明らかにした。

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2015年1月19日、中国経済に詳しい柯隆・富士通総研主席研究員は日本記者クラブで講演し、「習近平国家主席は構造改革を推進しているが、大手国営企業の問題に手をつけられないでいる」と指摘。 中国の経済成長率の実態は6%前後ではないかとの見方を明らかにした。発言要旨は次の通り。

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中国はトウ小平氏以来の改革開放路線が行き詰まり、腐敗が蔓延し、格差が拡大している。習近平国家主席は構造改革を推進しているが、大手国営企業の問題に手をつけられないでいる。共産党政権の持続性にかかわる問題だ。

2015年の中国経済は高度成長から中成長の「新常態」への移行により減速する。それでも利下げや金融緩和などにより、7%程度の目標を維持するだろう。私は中国で道路の交通量などを毎年定点観測しているが、明らかに減速している。実態は6%前後の成長ではないか。李克強首相は投資から消費への転換を推進しているが、消費は可処分所得によって左右される。

不動産価格は年収の6倍程度が適正といわれるが、年収の20倍以上に跳ね上がり、既にバブルの状態だ。ただ6割が居住用であることや利下げや金融緩和が進んでいるため、バブル崩壊には至らない。

ひところ騒がれたシャドーバンキング(影の銀行)は、正規の銀行の影の部分であるが、中国では厳しい金融規制があり、銀行の利ザヤが大きいこともあって、金融危機には起きない。中国の外貨準備は4兆ドル(約480兆円)に達している。(八牧浩行

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

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