Record China 2015年1月23日(金) 6時35分
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「北京は本当に住みにくい。もう帰りたくない」。こう語るのは、北京出身の李さん夫妻(仮名)だ。写真は筆者撮影。「中国の夢」を強調する習近平指導部だが、経済は徐々に悪化しているようだ。写真は「中国の夢」スローガン。
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「北京は本当に住みにくい。もう帰りたくない」。
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こう語るのは、北京出身の李さん夫妻(仮名)だ。2人は中国企業の東京支店勤務で、すでに20年以上も東京に住んでいる。2人とも両親が健在で、時々北京に帰るのだが、PM2.5(微少粒子状物質)などの環境汚染に加えて、年々物価が上がっており、庶民の家計を圧迫しているという。
「10年ほど前は日本の方が物価が高く、ブランド品などは北京で買っていたが、いまはその逆」と李さんの奥さん。
さらに、2年前の習近平(シー・ジンピン)指導部発足後、「ぜいたく禁止令」が出され、「ブランド品はおろか、日本料理店やちょっと高級なレストランにも、人目をはばかって出入りしなくなった」とため息をつく。
筆者も、この1年間で北京や上海、天津、深センを訪れたが、物価の高さにビックリする。ホテルの宿泊代はこの10年で2倍から3倍に跳ね上がり、それに伴い、飲食代も同じくらい値上がりしている。
中国では2008年のリーマンショック以降、経済をけん引してきた欧米向け輸出が振るわず、今年に入り、好調だった不動産を中心に頼みの内需も落ち込んでいる。製造業の景況指数も11月は前月比0.5ポイント低下、2カ月連続で前月水準を下回り景気の減速感が強まっている。
中国人民銀行(中央銀行)は11月下旬、銀行の貸出と預金の基準金利を引き下げた。利下げは12年7月以来、2年4カ月ぶり。貸出金利(期間1年)は0.4%下げて5.6%となった。景気の下支えが狙いとみられる。
例年12月開催の中央経済工作会議では春の全国人民代表大会(国会)で打ち出した「7.5%前後」の年間の経済成長率目標を「7%前後」に下方修正。中国経済は二ケタ成長が当たり前の期間が長かったが、徐々に減速しているのは明らかだ。
実際、先に発表された昨年の経済成長率は7.4%と天安門事件が発生した1989年以来、23年ぶりの低さだ。
民間非営利のシンクタンク「全米産業審議会」は中国の15-19年の成長率は年平均で5.5%、20-25年は3.9%程度と予測する。
習近平国家主席はこのような低成長を「新常態」と名付けて、「安定成長の経済状態が常態化する」と指摘しており、中国経済の減速・停滞に予防線を張っている。
新たな1年を踏み出すに当たり、これまで中国頼みだった日本企業も新たな対応を迫られるかもしれない。
◆筆者プロフィール:相馬勝
1956年、青森県生まれ。東京外国語大学中国学科卒業。産経新聞外信部記者、次長、香港支局長、米ジョージワシントン大学東アジア研究所でフルブライト研究員、米ハーバード大学でニーマン特別ジャーナリズム研究員を経て、2010年6月末で産経新聞社を退社し現在ジャーナリスト。
著書は「中国共産党に消された人々」(小学館刊=小学館ノンフィクション大賞優秀賞受賞作品)、「中国軍300万人次の戦争」(講談社)、「ハーバード大学で日本はこう教えられている」(新潮社刊)など多数。
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