死刑囚からの臓器提供中止、臓器不足にはならず―中国メディア

Record China    2015年1月30日(金) 13時32分

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28日、中国は今年1月1日より、刑執行後の死刑囚の臓器提供を全面的に中止し、国民の自主的な臓器提供が唯一の提供源となった。写真は中国黒龍江省の刑務所。

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2015年1月28日、中国は今年1月1日より、刑執行後の死刑囚の臓器提供を全面的に中止し、国民の自主的な臓器提供が唯一の提供源となった。中国臓器提供・移植委員会は、全国169カ所の臓器移植資格を持つ病院に対し、死刑囚の臓器の使用を中止するよう要求した。人民日報が伝えた。

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▽全面的な中止の必要性は?

中国は米国に次ぐ世界第2の臓器移植大国だ。しかしこれまで、国民の自主的な臓器提供の割合は少なく、死刑囚の臓器が臓器移植の主な提供源となっていた。

同委員会の黄潔夫(ホアン・ジエフー)主任委員は「死刑囚も国民であり、法律も死刑囚の臓器提供の権利は剥奪していない。死刑囚が罪の償いとして、自ら臓器を提供する意思があるのなら、これを奨励すべき。しかし、我々が現在採用している、『地方の司法部門と病院が死刑囚の臓器を取得』というやり方は不透明だ。司法部門が臓器を配分するというのは、社会の公平・公正のボーダーラインに抵触する。病院が死刑囚の臓器を摘出する方式と環境も、医学の高尚性・純潔性にそむくものだ。このため、こうしたその場しのぎのやり方を変えなければならない」と指摘する。

▽臓器が不足する可能性は?

黄主任委員は「臓器不足は世界各国が直面する難題だ。しかし、中国の臓器移植事業の発展を妨げているのは、法によって管理される、完備された国家臓器提供・移植体系の不備だ。立ち遅れた管理体制の問題を、中国の伝統的文化のせいにしてはならない」と指摘、さらに「ドナー不足の問題を解決するには、適切な提供ルートの確立が必要。国民が自主的に提供する臓器と死刑囚からの臓器を一緒にしていると、国民の臓器提供の意思が大きく削がれてしまう。このため、死刑囚への依存を絶っても、臓器不足が深刻化することはなく、むしろ国民の臓器提供を促すことができる」との見方を示す。

広州武漢などで行った調査の結果、臓器を提供する意思を示した人は34%だった。この割合は、英国では45%に達している。

▽脳死後の提供と心停止後の提供、どちらを基準とするか?

黄主任委員によると、移植される臓器は、世界的な倫理原則に基づき、脳死後の提供、心停止後の提供、生体移植(ドナーが血縁者または家族)、生体移植(ドナーが血縁者または家族以外)の順で選ばれる。脳死は最も科学的な死亡判定基準であり、中国は2003年に脳死の判断基準と死の判定のプロセスを発表している。

しかし、伝統的な考え方などにより、中国で脳死の認識が普及するにはまだ時間がかかる。このため、試行においては、「心停止」と「脳死」の2種類の基準が同時に採用されている。すなわち、国民は死の基準を自ら選択することができる。なお、法的には、「心停止」が統一の基準となっている。

中国は伝統文化をかんがみ、心停止を法的根拠とし、臓器提供の死亡判断の基準として、脳死、心停止、脳死かつ心停止の3種類を制定した。

3つ目の基準である、脳死かつ心停止は中国独自の基準であり、脳死判定後も臓器への酸素供給を続け、臓器の活力を維持しつつ、心臓が停止した後に臓器摘出を行うというもの。

中国の3つの基準は世界的な医学雑誌「ランセット」で発表され、国際社会からの高い認可を得た。世界保健機関(WHO)と国際移植学会(TTS)も、3つ目の基準について、「世界の臓器提供事業に対する中国の貢献」との見方を示している。(提供/人民網日本語版・翻訳/SN・編集/武藤)

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