八牧浩行 2015年4月1日(水) 14時38分
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1日、3月の日銀短観によると、企業の景況感は依然慎重で、設備投資を本格化には至っていない。特に3カ月後の企業予想は全指標で悪化が見込まれている。大企業製造業の業況判断指数は、前回12月短観から横ばいにとどまり、市場予想を裏切った。写真は東京丸の内。
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2015年4月1日、日本銀行が発表した3月の企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感は依然慎重で、設備投資を本格化には至っていない。特に3カ月後の企業予想は全指標で悪化が見込まれている。
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大企業製造業の業況判断指数(DI)は、前回12月短観から横ばいにとどまり、改善するとの市場予想を裏切った。円安の恩恵を受けると見られた輸出業種の自動車や電気機械のDIが停滞したためだ。
円の対ドルレートは今年に入って、120円前後で推移。大企業製造業が2015年度業務計画の前提とする想定レートは111円台で、実勢よりも大幅な円高となっている。慎重な企業心理を反映して、15年度の大企業の設備投資計画は、前年度比1.2%減とマイナスだった。
14年度の大企業製造業の輸出部門の売上高計画は前年度比3.5%増と前回から1.6ポイント上方修正。脱デフレにつながる雇用判断も大きく好転、大企業製造業の雇用人員判断(過剰から不足を引いた値)はマイナス2と不足超過になった。大企業非製造業の販売価格判断もプラス幅が拡大、物価押し上げ効果が表れたといえる。
しかし大企業による海外での製品・商品の需給判断で供給超過幅が一段と広がった点は懸念材料。海外の景気が弱含んでいるためで、企業業績への寄与度は減少する。中小企業は、非製造業で2ポイント改善したものの、製造業が3ポイント悪化した。
3カ月後(2015年6月)の予測については、大企業製造業が3月比2ポイント低下のプラス10、非製造業は2ポイント低下のプラス17。中堅企業製造業は1ポイント低下のプラス3、非製造業は4ポイント低下のプラス10。中小企業製造業は1ポイント低下のゼロ、非製造業は同4ポイント低下のマイナス1。全ての指標で悪化すると予測されており、先行き厳しい景況感が明らかになった。(八牧)
■筆者プロフィール:八牧浩行
1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。
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