<戦後70年談話>日中間で積み重ねたものを「変えるな」というのが中国の基本姿勢=首脳レベルの外交日程に影響も―有識者懇談会メンバーの東大教授

八牧浩行    2015年4月24日(金) 18時30分

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24日、川島真東大教授は講演し、8月に出される安倍談話について、日中間で積み重ねてきたものを「何も変えてくれるな」というのが中国の基本姿勢で、談話の内容は、10〜11月の国際会議での首脳レベルの外交日程に影響するとの見通しを示した。

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2015年4月24日、川島真東京大学大学院教授(写真左)は日本記者クラブで「戦後の日本外交を、中国を中心に検討する」をテーマに記者会見した。8月に出される安倍談話について、日中間で積み重ねてきたものを「何も変えてくれるな」というのが中国の基本姿勢と指摘。中国側は日本国内での議論やメディアの報道を注視しており、談話の内容いかんによって、10〜11月の国際会議での首脳レベルの外交日程にも影響するとの見通しを明らかにした。同教授は安倍首相の「戦後70年談話」に向けた有識者懇談会メンバー。発言要旨は次の通り。

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日中両国民は言論NPOの世論調査で相手国に対しともに8割以上が「親しみを感じない」と回答しているが、日本人の7割、中国人の5割が相手国は重要と答えている点に注目したい。

(8月に出される安倍談話について)中国側は日中間で積み重ねてきたものを「何も変えてくれるな」というのが基本姿勢だ。言葉にこだわることはないとしているが、日本国内での議論やメディアの報道を注視している。談話の内容いかんによって、9月3日に予定されている「抗日戦争勝利記念パレード」行事ばかりでなく、10〜11月の国際会議での首脳レベルの外交日程にも影響する。

習近平国家主席が14年5月に「アジアの安全保障観を積極的に樹立し、安全保障協力の新局面を共同創出」することを打ち出した。「アジアのことはアジアの人々がやればよい」という考え方で、「アジア人」がアジアの安全保障を互いの利益を尊重し合っていこうと語り始めたものと注目される。

この考え方は「一帯一路」(陸と海のシルクロード構想)やアジアインフラ投資銀行(AIIB)にも反映されている。AIIBにも、経済発展し大きくなった中国に対するアプローチの一つとして戦略的体系的に対応すべきだ。今後10年、20年にわたる、新たな時代の幕開けと見る必要がある。中国が向かおうとすることに対し、右往左往することなく、一定の基準を設けながらルールを打ち出していくことが重要だ。中国側にも目安を示すことにもなる。

「歴史を鑑みる」という言葉を大事にしたい。日中を含め東アジアに戦争のような不幸が起きないように歴史にこだわっていきたい。(八牧浩行

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

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