安倍政権は「特定の経済界だけでなく多くの意見聞くべき」「政治家と官僚の関係、クールになった」―7つの内閣で官房副長官を務めた石原信雄氏が苦言

八牧浩行    2015年6月5日(金) 9時57分

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4日、7つの内閣で官房副長官を務めた石原信雄氏が日本記者クラブで講演、自らの経験も踏まえ、戦後の政と官の関係の変遷について語った。安倍政権の経済政策について、特定の経済界の人だけでなく、多くの人たちの意見を聞くべきだと批判した。

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2015年6月4日、竹下内閣から村山内閣まで7つの内閣で官房副長官を務めた石原信雄氏(地方自治研究機構会長)が日本記者クラブで講演、自らの経験も踏まえ、戦後の政と官の関係の変遷について語った。「かつては官僚がしっかりした原案を出して政治家に判断を求めることが多かったが、この政治家と一緒に(全力で)仕事をしようという意識が希薄になっている」と苦言。政治家も世襲議員が多く、頼りない人が多いと指摘した上で、「政治家と官僚の関係はクールになっている」と強調した。また安倍政権の経済政策について、特定の経済界の人だけでなく、多くの人たちの意見を聞くべきだと批判した。

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最近は、昔のように派閥の中でもまれてリーダーシップを持つようになった政治家が少なくなった。世襲議員が多く、頼りない感じがする。政治家と官僚の関係はクールになっている。制度上の変化もあって、政権が決めたことについて、(受動的に)働ける範囲で作業する傾向が強く、この政治家と一緒に(全力で)仕事をしようという意識が希薄になっている。

議員は選挙があるので、どうしても選挙民に迎合する傾向があるが、かつては官僚がしっかりした原案を出して政治家に判断を求めることが多かった。私が出席したある会議で、ある官庁トップが「こんなに重要な案件なので代議士には任せられない」と語ったこともあったほどだが、愛国心からこう発言したのだろう。

政治主導、官邸主導という言葉を聞くが、政治家は官僚の智恵も聞いてほしい。(安倍政権は)経済政策について特定の分野の人の意見を聞くとされるが、特定の経済界の人だけでなく、多くの人たちの意見を聞くべきだ。長い目で見れば、いろいろな人の意見を聞けば間違いが少なくなる。

1995年の村山首相談話の作成時、私は直接かかわっていないが、文章などは官僚がサポートしたが、大きなところでは村山首相の気持ちが盛り込まれたと聞いている。(八牧浩行

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

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