<日本人の中国観光は復活するか(中)>「風水」のパワースポット「地壇公園」で太極拳―故宮博物院、国宝級陶磁器・書画を新たに公開

八牧浩行    2015年6月28日(日) 10時24分

拡大

地壇は、明、清代の皇帝が地の神に対して祭祀を行った宗教的な祭壇。天壇と対向しており、古代中国の「天南地北説」に符合する。中国発祥の「風水」のパワースポットでもある。故宮博物院では展示場が拡大され、国宝級宝物が新規公開中だ。写真は地壇公園で太極拳をする人。

(1 / 7 枚)

北京の中心・紫禁城の北東に位置する地壇は、明、清代の皇帝が地の神に対して祭祀を行った宗教的な場所(祭壇)である。天壇が紫禁城の南東に築かれたのに対向しており、古代中国の「天南地北説」に符合する。天壇の主な建築が円形であるのに対して、地壇は方形だ。これは『大清会典』(政治制度に関連する史書)に記された「方(四角)は地を表す」に従っており、中国の天円地方の宇宙観を体現。中国発祥の「風水」のパワースポットでもある。「天は陽、地は陰とみなす」という陰陽思想に従い、天壇の石塊や、階段、柱などはすべて奇数(陽数)で構成されている。一方地壇は偶数(陰数)で構成されている。

その他の写真

地壇公園には、太極拳、気功をしている人たちが多いが、合唱の練習会も開かれ歌声が響いている。公園内にある「中医薬養生文化園」を巡ると、中国医学や養生の知識を学べるようになっている。広い園内は「木=肝臓、火=心臓、土=脾臓、金=肺、水=胃」など「五臓六腑五行」の区画に分かれている。人体のツボを示す展示物や解説パネルも置かれており、一巡すると東洋医学の世界がよくわかる。昼間は中医師の先生が診断もしている。

北京の観光の中心、歴代の皇帝が居を構えた世界遺産・故宮博物院。年間観光客数は1500万人に達する。国慶節などピーク時には1日15万人を上回り、今後も更に増加する見込み。

その混雑対策として、博物院では内壇(内壁)内にある事務所や科学研究部門を移転し、今年、新たな展示施設を5カ所一般公開した。公開エリアは以前の46%から65%に増え、「慈寧宮区」、「雨花閣区」などが見学できるようになった。また、午門、武英殿、文華殿に展示スペースを設け、元、明、清朝時代の陶磁器、書画などが新たに公開された。オープン間もないとあって、人影はまばらで、じっくり国宝級の宝物を鑑賞できる。日中戦争末期に北京の故宮博物院の宝物は戦災から逃れるため上海経由で台北に逃れたことから台北の博物院に比べ地味との見方もあったが、収蔵されていた歴代王朝の宝物の公開で、引けを取らなくなる、との期待もあるようだ。

◆下町の「胡同」「四合院」も観光スポットに

北京独特の下町路地、胡同(フートン)。灰色のレンガの壁が延々と続き、その裏側に、大小様々な中庭型住宅が並んでいる。狭く雑多だがホッとする空間だ。住民の間で家族的な近所づきあいの習慣が残り、老若男女が元気に暮らしている。伝統的な家屋である四合院を改造したレストランやホテルも多く、内外の観光客の人気となっている。

明代、清代と王朝が代わる中でも、生き残ってきた胡同だが、北京五輪に伴う再開発や大型ビルの建設で多くが取り壊された。かつて大きなものだけでも4000あったとされるが、現在は500以下に減ってしまった。古い北京の風情をしのぶ貴重なスポットとなっている。(八牧浩行

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

この記事のコメントを見る

ピックアップ



   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業務提携

Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら

業務提携