米中投資協定交渉が急進展、9月までにネガティブリスト交換=温室ガス削減でも合意、6大プロジェクト立ち上げへ―米中戦略・経済対話

八牧浩行    2015年6月25日(木) 10時25分

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24日、ワシントンで23日から開催されていた米中戦略・経済対話が閉幕、2国間投資協定(BIT)交渉で新たなネガティブリスト(外資規制対象リスト)を交換することで合意したほか、経済・金融分野や地球温暖化対策などで協調していくことで合意した。資料写真。

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2015年6月24日、米国、中国両政府がワシントンで23日から開催していた第7回米中戦略・経済対話が閉幕、2国間投資協定(BIT)交渉で新たなネガティブリスト(外資規制対象リスト)を交換することで合意したほか、経済・金融分野や地球温暖化対策などで協調していくことで合意した。世界の安全保障問題も協議、米側は中国の南シナ海での岩礁埋め立てを強くけん制した。

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米中戦略・経済対話は、米中両国の主要閣僚や政府・経済界が経済や安全保障分野の懸案、国際的な課題について意見交換する大規模会議で、毎年米中交互に開催されている。今回対話でも、米国のバイデン副大統領、ケリー国務長官、ルー財務長官、中国の楊潔●(竹カンムリに褫のツクリ)国務委員(副首相級)、汪洋副首相はじめ両国政府や経済界のトップクラス1000人近くが出席。中国側は400人以上の代表団を送り込んだ。

投資協定を巡ってはルー財務長官と汪洋副首相は会議終了後の記者会見で、「双方は投資協定の交渉が両国の経済関係において最優先課題であることを再確認し、交渉を加速させ、今年9月初めに新しいネガティブリストを交換することで合意した」と言明した。ネガティブリストには外資規制を継続する経済分野が記され、リストにない分野には相手国からの直接投資が可能になる。このほか、温室ガス削減問題や人民元の国際化などでも大きな進展があったという。

このほか、米中両国は(1)米ボーイングと中国航空機メーカー・中国商用飛機による航空機燃料の廃油リサイクル実験や、(2)米コロンビア大と中国の包頭鋼鉄による鉄鋼生産工程で生じる副産物の再利用―など新たに6項目の大掛かりなプロジェクトを立ち上げ、民間部門が技術協力を推進することで合意した。中国は2030年ごろをメドに二酸化炭素(CO2)の排出量を減らす目標の達成に41兆元(約820兆円)を投入することを表明、米企業の投資を歓迎する意向を示した。両国は今年後半に、米カリフォルニア州ロサンゼルスで「低炭素都市サミット」を初めて開く計画も明らかにした。

汪副首相は「気候変動に取り組むことは挑戦でありチャンスとなる」と言明。中国の自動車市場で昨年、電気自動車(EV)が前年の3倍売れ、EVメーカーの米テスラ・モーターズや中国の比亜迪BYD)などにとって好機となったと指摘した。ケリー国務長官も、太陽光や風力発電などの分野で「数百万人の雇用創出の機会がある」と述べ、温暖化対策が経済成長につながると表明。「米中合意は極めて重要だ」と強調した。

安全保障問題では、バイデン副大統領が、中国に「公平、透明性のある健全な競争者」であるよう求め、サイバー空間の共通のルールづくりや、南シナ海問題の平和的解決などを中国に促した。これに対し、楊国務委員は「新型大国関係の構築は共存への進路となる。中国は航行の自由を強く支持している。サイバー・セキュリティーの問題は非常に重要で、米国や他国と適切に取り組む」と応じた。

同対話では9月に予定されている習近平中国国家主席の米国公式訪問(国賓)についても、スケジュールなどを協議した。(八牧浩行

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

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