八牧浩行 2015年7月6日(月) 7時28分
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行天豊雄・元大蔵省財務官(写真左)は講演し、ギリシャ問題に揺れるユーロ圏情勢について、ドイツなど北の国とギリシャ、スペインなど南の国との“南北格差”が深刻化しており、強国から弱い国への資金移転をはじめとする格差埋め合わせの仕組みが必要であると指摘した。
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2015年7月1日、国際金融情勢に詳しい行天豊雄・国際通貨研究所長・元大蔵省財務官(写真左)は日本記者クラブで講演。ギリシャ問題に揺れるユーロ圏情勢について、ドイツなど北の国とギリシャ、スペインなど南の国との“南北格差”が深刻化しており、強国から弱い国への資金移転をはじめとする格差埋め合わせの仕組みが必要であると指摘した。発言要旨は次の通り。
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1999年に欧州連合(EU)の11カ国でユーロが導入されたが、国によって受けた恩恵が違っていた。相対的に競争力が弱いと見られたギリシャ、イタリア、スペイン、ポルトガルなどは、低い金利で国債を発行することが可能となり、調達した資金をばら撒き的に使った。さらに、ユーロ圏になったことにより、投資機会が豊かではないと思われていた南の国々に対して投資が急増、不動産などが買い漁られた。
2008年のリーマンショックを受けて一旦狂った歯車は逆回転し始め、不良債権のヤマとなった。2009年にユーロ危機が発生、この時は何とか乗り切ったが、構造的な問題が深刻化している。
構造問題の一つは為替・金利など金融政策は統一された一方、税・社会保障など財政は個々の国の運営に委ねられたこと。参加各国の財政赤字を3%以内に抑えるという目標も達成されておらず、ほころびを招いた
もう一つはユーロ圏で強い国と弱い国の経済格差が拡大していること。マルタやキプロスなど小さな国も入り、“南北格差”が深刻化している。ドイツなど強国から弱い国への資金移転といった、このような格差を埋め合わせる仕組みが必要だ。
欧州が統合された際、(2回の世界大戦など)欧州の惨禍を招かないためという理念があったが、世代交代と加盟国拡大などにより、希薄になっている。世界通貨ユーロとして世界のリーダーになろうという気概もなくなっている。(八牧浩行)
■筆者プロフィール:八牧浩行
1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。
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