日本僑報社 2015年8月8日(土) 14時23分
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まもなく発表される安倍首相の戦後70年談話の内容と、それが日中関係にどのような影響を及ぼすのかにも注目が集まるところだ。上海交通大学の周燿琳さんは、「政冷経熱」とも言われる微妙な日中関係を「夫婦」に例えている。
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「一衣帯水の隣国」。日中関係を言う時、一番よく使われてきた言葉かもしれない。人間関係に例えると、真っ先に思い浮かぶのは「お隣さん」だ。しかし単なる「お隣さん」だけでは、何か物足りない。ただ隣に住んでいる人同士なら、その人が何をしているとか、自分のことをどう思っているかについて無関心のままでいても平気だし、仲が悪くなっても最悪の場合引越しさえすれば済む。しかし日本と中国は、そうするわけにはいかない。物理的な意味だけではなく、経済などさまざまな面において、離れようとしてもなかなか離れられない2人。それは「夫婦関係」とは言えないだろうか。
知り合って2000年以上、ずっと関わり合ってきて、ずっとそばにいる2人だ。中国語には「100年の縁あれば同じ船に乗れる。1000年の縁あれば同じ枕で眠ることができる」ということわざがあり、日本語では「袖すり合うも他生の縁」と言われる。人と人の絆をこんなに大切に思う2人であるのに、国家の立場を持ったとたん、関係が冷え込んでしまう。
大学に入ったころは、日中の間で何かトラブルがあると、自分の居心地が悪くなるなんて微塵も考えていなかった。日本語専攻一本狙いだったから、合格できて好きなものに熱中できることを単純に喜んでいた。日本語を勉強している学生なら誰でも同じような経験をしたことがあると思うが、学部で何か日本語に関するイベントの準備を始めると、日本を良く思っていない別学部の学生から悪く言われるのではないかというプレッシャーをどうしても感じてしまう。中国文化に惹かれて、中国のことが大好きと誇らしげに宣言している外国人はたくさんいるのに、日本のことが好きだとは、いつの間にか言いづらいことになっていた。
歴史認識、中国脅威論、反日感情。2人の間に障害が溜まり、断片的に流れる情報に煽られる。「こっちの気持ち、なんで分かってくれないんだよ!」。夫婦げんかでよく聞こえてくる叫び声が、中国からも日本からも聞こえてきそうだ。政治的な関係が冷え込む一方、そうした困難を乗り越えていこうとする民間交流の動きは相変わらず力強く進行している。民間協会は文化交流促進に力を尽くし、多くの人が黙々と自分の努力で日中間の障害を取り除こうとしている。互いに国内にさまざまな問題を抱えた状況ではあっても、最も大切なのは相手の国をよく理解する者の存在だ。「デリケートな問題だから」などとためらわず、堂々と胸を張って、日本のこと、日本人のことをもっと知りたいと思って初めて友好が始まる。
日本語学部以外の人に「日本人のどこが好きですか?」と聞いてみた。「いつもスマイルで礼儀正しい」「ルールを大切にする」「女の子がすごくキュート!男の子もお洒落でかっこいい!」「効率よく仕事をする」。一方、中国語も中国文化もよく知らない日本人に「中国人のどこが好きですか?」と聞いてみた。「大らかで細かいことを気にせず、明るく素直で率直、好きなものに対してまっすぐに愛情を注ぐ中国の人々。私は本当に好きだ」。こんな「好きだよ」の数々。いつかあなたにも聞いてもらいたい。いつかあなたにも言ってもらいたい。いつも私が聞いていたい。いつも私が言っていたい。(編集/北田)
※本文は、第二回中国人の日本語作文コンクール受賞作品集「壁を取り除きたい」(段躍中編、日本僑報社、2006年)より、周燿琳さん(上海交通大学)の作品「私から見た日中友好」を編集したものです。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。
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