中国主導のAIIB、米国がけん制するのは間違い=中国GDPが1%下がれば日本は0.2〜0.3%下落―大場智満・元大蔵省財務官

八牧浩行    2015年9月15日(火) 7時39分

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14日、大場智満元大蔵省財務官は講演し、「中国のIMFの資金拠出シェアを引き上げる改革が2012年に決まったが、米国が拒否権を発動し実現していない」と指摘。

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2015年9月14日、大場智満・元大蔵省財務官は日本記者クラブで講演し、中国のIMF(国際通貨基金)の資金拠出シェアを国力に見合った形で、3位に引き上げる改革が2012年に決まったが、米国が拒否権を発動し実現していない、と指摘。このことが、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)設立につながったと述べた上で、「米国が英国を責めるのは間違い」と強調した。また、中国のGDPが1%減退すると日本は0.2〜0.3%下がるとの試算を明らかにした。発言要旨は次の通り。

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プラザ合意のあった1980年にはG5(米日独英仏)は世界のGDPの50%を占めていたが、現在では世界のGDP、113兆ドルのうちG7(G5プラス・イタリア、カナダ)は34兆ドルにすぎず、BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)とほぼ同水準となった。世界の政策協調は必要であり、G7で調整してBRICSにつなげるべきである。

中国のIMF資金拠出シェアを国力に見合った形で、3位に引き上げることが2012年に決まったが、米国が拒否権を発動して実現していない。これがAIIB(アジアインフラ投資銀行)設立などにつながった。AIIBは英国が加盟を決定したため多数の欧州諸国が入ることになった。英国は1949年に中国を承認しているが、米国が承認したのは1972年で大きく遅れた。米国が英国を責めるのは間違いだ。

中国のGDPが1%減退すると日本は0.2〜0.3%下がる。東南アジア、オーストラリアは0.5%落ち込み、世界全体でも0.2〜0.3%下がる。

米国の利上げは多数の国に大きなダメージを与える。懸念されるのは(1)経常収支赤字が3%以上、(2)外貨準備が債務残高を下回る、(3)実質成長率がマイナス、(4)インフレ率が6%以上―の条件を満たす国である。国際金融情報センターによると、主要28カ国のうち、インドネシア、パキスタン、ブラジル、アルゼンチン、ベネズエラ、コロンビア、南アフリカ、ロシア、トルコ、アルジェリア、エジプト、イラン、イラク、カザフスタンの14カ国への影響が懸念される。(八牧浩行

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

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