日本僑報社 2015年10月9日(金) 17時47分
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中国人観光客のマナーの問題が各国で指摘される一方で、中国人自身も自国民のマナーの悪さを認識している。淮陰師範学院の趙含嫣さんは、日本人の先生を案内したときの出来事から、中国人のマナー問題についてつづっている。写真はペットボトルの水。
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中国人観光客のマナーの問題が各国で指摘される一方で、中国人自身も自国民のマナーの悪さを認識している。そして、そうした中国人との比較として、日本人のマナーや礼儀正しさが頻繁に引き合いに出される。淮陰師範学院の趙含嫣さんは、日本人の先生を案内したときの出来事から、中国人のマナー問題について次のようにつづっている。
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2年前の夏休み、私は父に連れられ、故郷貴陽に向かった。そこで初めて淮安師範大学の日本人先生に出会った。彼女はメガネをかけていて、お日様のような暖かい微笑みを持った女性だった。
忙しい父の代わりに、私がまだあまり中国語を話せない先生を連れて、中国で一番幅が高いと言われている黄果樹滝まで行った。30分ぐらいバスに乗り、車を降りてみると、周りの景色に驚いた。そこは緑にあふれていた。色とりどりの花が咲き乱れ、葉についた朝露が日差しの下で宝石のようにキラキラと輝いていて、透き通った泉には、小魚が戯れていた。しかし、こんなに美しい景色にもところどころ不釣り合いなゴミが周りに散乱していた。
「こんなに美しい風景なのに…、一人ひとりがちゃんとマナーを守って自分のゴミを自分で持ち帰ることができたらいいのに」。先生は残念そうにそう言いながら、周りに散らばっているゴミを拾い、持ってきたビニール袋の中に一つずつ入れていった。その矢先に、歩いていた親子の会話が耳に入った。
「お母さん、これ飲み終わったんだけど、どこに捨てればいいの?」。小学生ぐらいの女の子がペットボトルを片手に持ちながら、女性を見上げていた。「どうせ従業員が片付けてくれるんだから、そこに捨てておきなさい」。母親らしき女性がそう言うと、その女の子は何のためらいもなくそのペットボトルを地面に捨ててしまったのだ。
その光景を目にした先生は、ペットボトルを拾い上げて目の前にいる母親らしき女性に突き出しながら中国語でこういった。「ポイ捨てはダメです。母親がちゃんと子供にマナーを教えなくちゃいけないでしょう?」。しかし、先生の中国語の意味がよく伝わらなかったのか、その母親はうるさそうに「そのペットボトルはもういらないの。そこに捨てといて」と言った。私はそれを見て、事情を説明し、「彼女はポイ捨てをダメですと言ってるんです。母親がちゃんとマナーを子供に教えないといけないんではないんでしょうか」と言うと、女性はペットボトルを手に取って、恥ずかしそうに頭をペコッと下げ、ゴミ箱に捨てに行った。
その昔、中国は礼儀を重視した大国だった。その礼儀を世界中に広めてゆき、今の日本にも大きな影響を及ぼしたと聞く。しかし、嘆かわしいことに中国ではマナーを守る意識が欠落している人々がだんだん増えている。でも、全員がそうなのではない。私たちが希望を捨ててはいけないのだ。昔、日本に文化を伝えたのは中国だった。今度は、逆でもいいから、私たちが日本から正しいマナーは何たるかを学び、それをみんなに教えるべきではないだろうか。(編集/北田)
※本文は、第十回中国人の日本語作文コンクール受賞作品集「『御宅』と呼ばれても」(段躍中編、日本僑報社、2014年)より、趙含嫣さん(淮陰師範学院)の作品「公共マナーと中国人」を編集したものです。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。
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