「日本人が作ったアニメは悪い影響を与えるから見るのはやめなさい」=あのおばさんに今、言いたいこと―中国人学生

日本僑報社    2015年11月22日(日) 14時43分

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日本のアニメは中国でも非常に高い人気を誇っている。北京科技大学の楊さんは子どものころに見ていた「ちびまる子ちゃん」から学んだことを作文につづっている。写真は15年7月、北京で行われた放送開始25周年記念フェア。

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日本のアニメは中国でも非常に高い人気を誇っている。7月、中国でも大人気の「ちびまる子ちゃん」の放送開始25周年を記念するフェアが北京で行われた。そうしたなか、北京科技大学の楊[王君]さんは、子どものころに見ていた「ちびまる子ちゃん」から学んだことを次のように作文につづっている。

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「日本人が作ったアニメは、中国の子どもの成長や健康に悪い影響を与えるんだよ。だから、見るのをやめなさい」

それは小学3年生のころ、「ちびまる子ちゃん」というアニメを夢中で見ている時に、近所のおばさんは私にこう言っていました。いったいどうして、おばさんはこんなことを言ったのでしょう。その時期は日中関係があまり良くなかったようです。たぶんそのおばさんは、日本に偏見を抱いたのでしょう。私からみれば、子ども時代に「ちびまる子ちゃん」を見られたのは非常に幸いなことでした。

5歳のころ、父と母は離婚しました。父は家を出て、私と母は2人きりで20年前に建てられた古い部屋で暮らしていました。毎朝、母は8時までに会社へ行かなければいけませんでした。夕方は家に帰って晩ご飯を作ってくれました。夜中の12時を過ぎてもまだ洗濯をしていました。とても大変だったことを覚えています。そのときのわが家というと、周りの友達の家と比べたら、本当に貧乏だったと思います。ほかの女の子のように、かわいいおもちゃを持つこともなく、高くてきれいな服を着ることなど夢みたいでした。気にしないふりをしながらも、ほかの子どもたちをうらやましいと思っていました。しかし、母に負担をかけることになると思い、その思いを母には言えませんでした。

ある日、「ちびまる子ちゃん」がテレビで放映されました。まる子ちゃんの家はとても古くて、貧乏に見えます。欲しいものがいろいろとありますが、実現できません。でも、その家は楽しく、面白い出来事がたくさん起きます。家族で一緒に鍋料理を食べたり、祝日にお祭りを見に行ったりします。まる子ちゃんもしょっちゅうお姉さんとけんかしますが、おいしい食べ物があると、お姉さんとシェアします。お母さんの話はほとんど聞くそばから忘れるのでよくしかられますが、本当にまる子ちゃんを心配しているお母さんの気持ちがはっきり伝わってきます。

こうした出来事は特別なものではなく、どんな家庭にも起こりますが、それは世の中で最も温かいこと、幸せなことだと思います。人間というのは、社会に出れば平凡な家庭の温かさや感動を忘れがちです。人々の間では競争がどんどん激しくなっていき、人間は利益や欲望を追い求めるようになり、目の前の幸せを無視してしまいます。子ども時代には、私にとって大切なものが数えられないほどありました。ずっとそばにいて守ってくれる母、私の長所をほめてくださる先生、楽しく遊んだ友達は、一生の宝物だと思います。

今、私はあのおばさんに言いたいことがあります。私は「ちびまる子ちゃん」が大好きです。まる子ちゃんのおかげで、平凡な幸せがしみじみ感じられ、毎日楽しく過ごしてきました。そのことを教えてくれたアニメ、そして、その「ちびまる子ちゃん」を作った日本人に感謝したいのです。(編集/北田

※本文は、第十回中国人の日本語作文コンクール受賞作品集「『御宅』と呼ばれても」(段躍中編、日本僑報社、2014年)より、楊[王君]さん(北京科技大学)の作品「まる子ちゃんからもらった幸せ」を編集したものです。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。

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