自民党の財界・米国従属体質、安倍政権で倍化した=「1強」は小選挙区制ゆえ、野党大同団結なら政権奪取も―不破前共産党議長

八牧浩行    2015年11月25日(水) 10時15分

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不破哲三前共産党議長(写真左)は日本記者クラブで「戦後70年」と題して講演した。自民党は、資本主義諸国の中でも、「財界・米国従属」など異常な特質を持って発足し、現在の安倍政権でこの傾向が倍化した、と強調した。

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2015年11月24日、不破哲三前共産党議長は日本記者クラブで「戦後70年」と題して講演した。自民党政治は、資本主義諸国の中でも、「財界・米国従属」「侵略への反省なし」など異常な特質を持って発足し、現在の安倍政権でこの傾向が倍化した、と強調。自民党の基盤は明らかに弱体化、小選挙区制によって「1強」「少数独裁」が実現しているに過ぎず、「大局的に見れば、自民党は結党60年にして、最も危険な局面に入った」と批判した。発言要旨は次の通り。

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自民党には次の3つの特徴がある。

<経済>財界・大企業のいいなり。資本主義諸国の本来のあり方に反する。

<対外>米国従属。異常な治外法権の米軍基地体制を基礎にした個別同盟。

<侵略戦争>根本的に反省しておらず、「戦争肯定論」が安倍政権の主流でまかり通っている。

それでも、以前の自民党は、「保守総連合」的な性格を有し、田中角栄、福田赳夫内閣などは政策に一定の幅を持っていた。現在はモノカラーの政党となり、実態は強権・独裁政治と言われる。前掲の3つの異常な特質がすべて倍化している。

<経済>大企業・財界の利潤増大そのものを、政府の公然の政策目標としている。

<対外>憲法を踏みにじる形で、世界的な規模での海外派兵という米国の要求に応じるところまできた。価値観外交と称して訪問国にカネを配りまくっているが、価値観の異なる国と交流するのが真の外交である。

<侵略戦争>「判断停止」から「積極肯定」へ変化。90年代の村山談話、河野談話など「積極的反省論」を逆転させた。

自民党の政治基盤は明らかに弱体化している。自民党は1972年の総選挙では2456万票(47%)を獲得し、271議席(47%)と議席占有率と議席占有率同じだった。ところが2014年の総選挙では1765万票(33%)に激減したにもかかわらず、290議席(61%)と議席を拡大した。全体の有権者に占める割合では33%から17%へ激減した。

これは小選挙区制の弊害である。基盤の弱体化にもかかわらず、政権を保障する政治体制となっている。自民党にとっては、首脳部が全党を支配できる選挙制度となった。政界全体としては、助成金目当ての離合集散が常態化した。70年代と比較して、これら政党は基本政策も綱領もない。

「1強」とは文字通りの少数独裁のこと。自民党自身にとっても危険な瀬戸際政策であり、国民からも孤立している。焦りが目立ち、自己の政策の点検も総括もしない。念入りの準備もなしに、スローガン的な政策を打ち出す。一方で、対話と論戦を回避する。

例えば、行き詰まったアベノミクス(安倍政権の経済政策)の総括や反省もせずに、新たなスローガンをつくる。戦争法案(安保法案)、TPP(環大平洋連携協定)、辺野古新基地建設強行、原発再稼働なども、入念な準備もせずに、決めてしまう。議事録も残さないことも多い。大局的に見れば、自民党は結党60年にして、最も危険な局面に入った。

共産党は野党連立政権「国民連合政府」構想を呼び掛けている。粘り強く焦らないでやる。そういう政府を作るために選挙で協力しようということだ。この提案は多くの賛同を得ているし、かなり大きな力を発揮する。野党が大同団結できれば、衆院選で政権を転換する力が生まれる。(八牧浩行

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

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