人民元は値下がりを続けるか?―中国紙

Record China    2015年12月23日(水) 18時30分

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18日、中国人民銀行(中央銀行)がこのほど発表したデータによると、中国の11月の外貨準備高は前月比872億2000万ドル(約10兆6000億円)減少して、2013年2月以降で最低の3兆4380億ドル(約412兆円)になった。写真は人民元と米ドル。

2015年12月18日、中国人民銀行(中央銀行)がこのほど発表したデータによると、中国の11月の外貨準備高は前月比872億2000万ドル(約10兆6000億円)減少して、2013年2月以降で最低の3兆4380億ドル(約412兆円)になった。国際市場では再び人民元切り下げに関するさまざまな憶測が飛び交っている。国際商報が伝えた。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナルがこのほど紹介したスタンダードチャータード銀行の丁爽(ディン・シュアン)エコノミストの見方によると、人民銀は11月に500億ドル(約6兆6000億円)の外貨準備を売却し、人民元の急激な下落を防いだ可能性がある。残りの減少分は米ドルレートの上昇によって人民銀がもつドル以外の通貨の資産の価値が目減りしたことが原因だという。

丁エコノミストは、「人民銀は人民元の急激な値下がりは望んでいないが、市場のパワーが人民元の通貨価値を徐々に引き下げることには期待している」と述べた。

今月1日、国際通貨基金(IMF)は2016年10月1日から人民元を特別引出権(SDR)を構成するバスケット(通貨バスケット)に採用することを明らかにし、人民元は米ドル、ユーロ、英ポンド、日本円とともに世界の主要備蓄通貨になった。

だがこの情報が伝わると、一部の投資家の間では、中国が人民元の通貨価値を守ろうとしなくなるのではないか、人民元を流れのままに値下がりさせて経済発展を喚起しようとするのではないかとの懸念が広がった。「ウォール」紙は、「中国経済の成長ペースは過去25年間で最低の水準になる」と報じた。

だが一部の経済学者は引き続き、「中国には人民元の値下がりを制限する理由がある」と指摘する。英国の資本運用会社キャピタルエコノミックスのエコノミストは研究報告書の中で、「人民元の値下がりは中国の輸出競争力をいくらか上昇させることができるが、人民銀は元の値下がりがこれまで進めてきた人民元国際化の効果をそぐのではないか、また中国経済が消費駆動型の経済へと転換するプロセスを遅らせる可能性があるのではないかと懸念しているのかもしれない」との見方を示した。

オーストラリア紙「シドニー・モーニング・ヘラルド」が紹介したブルームバーグ社のシンクタンクのエコノミストの話では、「シグナルからわかるように、米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げに踏み切る前に、人民銀は人民元値下がりを誘導し始めた」という。ドイツのコメルツ銀行のエコノミストも、「中国政府はFRBが行動する前に自国の通貨市場に対する『圧力テスト』を展開した」との見方を示す。

こうした報道が紹介したスタンダードチャータード銀行の通貨戦略アナリストの話によると、「人民元は米ドルや市場パワーの変化に対して『より敏感』になっている。IMFが人民元をSDRの通貨バスケットに採用した後、中国政府は人民元の段階的値下がりを許容するようになる」という。

フランスの銀行ソシエテ・ジェネラルのアジア外国為替戦略アナリストは報告書の中で、「人民元の参考為替レートが1ドル=6.4085元を基礎として持続的に低下すれば、ただちに群集心理を引き起こし、持続的値下がりの観測が形成される」と指摘した。

米国のPNCファイナンシャル・サービシズ・グループのエコノミストのビル・アダムも、「コモディティの価格が大規模に値下がりすると中国政府は人民元がこれまでにない規模で値下がりすることを認めなければならなくなる。よって人民元値下がりがコモディティや製造業製品の価格上昇を後押しし、デフレのリスクを軽減することになる。こうしたわけで、人民元の値下がり傾向は2016年に加速する可能性がある」との見方を示した。

人民銀サイトが13日に転載した中国貨幣網の特約評論員の論考によると、中長期的な基本的側面から考えて、人民元レートには「合理的でバランスの取れた水準での基本的な安定」を維持する環境が備わっている。また、人民銀の易綱副総裁も人民元のSDRバスケット入り後に行われた記者会見で同様の見方を示した上で、「中国は今後も金融市場に関与し、大幅な変動が起きるのを防ぐだろう」と述べた。(提供/人民網日本語版・翻訳/KS・編集/武藤)

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