原油価格、サウジ・イランの増産競争で一層下落へ=「断交」で高まる地政学的リスク―日本エネルギー経済研究所幹部

八牧浩行    2016年1月16日(土) 8時20分

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15日、日本エネルギー経済研究所中東研究センターの田中浩一郎センター長(写真中央)と保坂修司副センター長(同左)が「サウジアラビア・イラン断交:地政学的影響を考える」とのテーマで講演。当面原油増産競争が展開され、原油価格は一層下落するとの見通しを示した。

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2016年1月15日、日本エネルギー経済研究所中東研究センターの田中浩一郎センター長、保坂修司副センター長が「サウジアラビア・イラン断交:地政学的影響を考える」とのテーマで、日本記者クラブで講演した。田中氏は、「サウジ、イランとも原油シェア至上主義で、シェアを失いたくないため、当面は野放図な増産競争が展開される」と指摘、原油価格は一層下落するとの見通しを明らかにした。両氏の発言要旨は次の通り。

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<田中浩一郎氏>

中東地域における地政学的リスクが急速に高まっている。イランによる原油増産と輸出増が迫るが、サウジ、イランとも原油シェア至上主義で、シェアを失いたくない。原油価格は90年代にアジア通貨危機の時に下落したが、97年に両国のトップ級が会談し、協調減産した。しかし、今は鋭く対立し、きな臭くなっているので、そのような協調をする雰囲気ではない。減産ではなく、野放図な増産競争が展開されるため、原油価格は一層下落するだろう。日本に対する影響は甚大だ。

<保坂修司氏>

サウジの財政は現在赤字だが、IMFの試算では今の段階では何もしなくても5〜10年持つ。国内の借り入れもまだ可能。アラムコを上場しなければならない段階でもない。(八牧浩行

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

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