<AIIB正式スタート>日本の経済界から“積極関与”促す発言相次ぐ=「投資先が多くあるのは日本企業にとり好ましい」「インフラ需要は旺盛」

八牧浩行    2016年1月20日(水) 8時10分

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正式に発足したアジアインフラ投資銀行(AIIB)について、「投資先が多くあるのは日本企業にとり好ましい」「インフラ需要は増加する一方」など、日本の積極関与を促す発言が経済界から相次いでいる。「バスに乗り遅れるな」という懸念だ。写真はAIIB本部ビル。

2016年1月16日に正式に発足したアジアインフラ投資銀行(AIIB)について、日本の積極関与を促す発言が相次いでいる。経済同友会の小林喜光代表幹事(三菱ケミカルホールディングス社長)は18日の記者会見で、アジアのインフラ需要を取り込むためにも、日本としては組織の透明性などが確認できればAIIBに参加すべきだ、との考えを示した。

国際経済に詳しい渡辺博史国際協力銀行総裁(財務省元財務官)は同日の記者会見で、「世界全体のインフラ資金需要は旺盛であり、(融資の)ポケットが増えるのは歓迎する」と指摘。世界銀行やADB、国際協力銀行などとの協調融資も選択肢となるとの考えを明らかにした。

小林氏は「57カ国が入って、さらに10カ国以上が入ろうとしている。世界銀行やADB(アジア開発銀行)は、どちらかというと中国サイドから見たら、日本に偏っているのだろうということで、習近平国家主席が2年ちょっと前にAIIB創設を提唱した」と指摘。「驚くべきことは、たった2年でここまで持ってきたというスピード感である。やはり、アジアのインフラ投資には、ADBや世銀も必要だが、日本もAIIBのガバナンスなどがある程度コンファーム(確証)されたら、入っていく方向で注視していく重要なアイテムの一つである」と述べ、日本として参加すべきだとの考えを示した。

また「新しい組織が出てきて、むしろスピード感も出て活性化するのではと思う。今までADBなどは融資、あるいはチェックに時間が掛かりすぎている部分もあると聞いており、そういう意味ではそのような投資機関がたくさん出てくることは良い方向だ」と強調した。

さらに「世界のインフラ投資に対して約1000兆円の需要があるならば。(国際開発金融機関が)3、4個あってもよいのではないか。インドや、東南アジア等、イランなどを含め、いろいろな貸し先があるとすれば、それなりに競争的、協調的であり、そういう投資先がたくさんあるのは日本企業にとっていいことだ」と述べ、日本はAIIBに参加すべきだとの考えを示した。

渡辺氏は「世銀、ADB、AIIB、国際協力銀行などがコア(核)となって民間資金を取り込んでいけば全体の投資資金を増やすことができる」と強調した。

AIIBについて、経済界は商社やインフラ開発会社を中心に「バスに乗り遅れないように参加すべきだ」と懸念がくすぶっていたが、AIIB参加に慎重な米国に追随する安倍政権の方針を前に、ほとんど顕在化しなかった。正式に発足したことで、「本音」が吐露された格好だ。昨年春の時点で財務省も参加の是非をめぐる報告書をまとめている。(八牧浩行

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

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