日銀の劇薬「マイナス金利」裏目、東証株価が4日連続下げ=一時300円超安の1万6700円台―円急騰116円台、長期金利は史上最低に

八牧浩行    2016年2月5日(金) 10時55分

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5日、東証株価の下落が止まらない。日経平均株価は4日連続で下落。一時前日比300円超安い1万6729円に沈んだ。外国為替市場で円が急騰したことで、企業の輸出採算が悪化するとの懸念が拡大。運用リスク回避の売りが殺到した。写真は東京証券取引所。

2016年2月5日、東証株価の下落が止まらない。日経平均株価は4日連続で下落。一時前日比300円超安い1万6729円に沈んだ。外国為替市場で円が急騰したことで、企業の輸出採算が悪化するとの懸念が拡大。運用リスク回避の売りが殺到した。

円は一時1ドル=116円半ばまで上昇し、2週間ぶりの高値を付けた。日銀のマイナス金利導入決定による円安効果を打ち消した格好で、円高傾向がさらに増大するとの懸念も出ている。日本企業の収益を押し上げた一因が円安だっただけに、心理面での重荷になっている。

国内主要企業の15年4〜12月期決算で16年3月期の見通し下方修正が相次いだことも、売り圧力となった。トヨタをはじめとする輸出関連銘柄のほか、ソフトバンクなど電気通信銘柄も値を下げ、今期の業績見通しを大幅に引き下げた東芝の値下がりが目立つ。

一方で、日本国債への資金流入が拡大。長期金利の指標である新発10年物国債利回りは0.010%低い(価格は高い)0.040%と史上最低を更新した。

日銀が1月29日に打ち出した、金融緩和3弾目となる「マイナス金利」政策は、「金融緩和政策の手詰まり感が高まっただけで、“副作用”の方が大きい」(市場筋)と見透かされ、裏目に出た格好。東京市場では、海外投資家の売り圧力が拡大、市場では「円安株高に依存したアベノミクスは行き詰まった。実体経済は改善されていない」と懐疑的な声が多い。(八牧浩行

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

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