<インタビュー>「大阪人は中国人に似ている」「関西弁漫才は最高」―中国人の日本語作文コンクール最優秀賞『好きやねん、大阪』作者

八牧浩行    2016年2月27日(土) 14時10分

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日本語を学ぶ中国人を対象とした第11回「中国人の日本語作文コンクール」(日本僑報社・日中交流研究所主催、日本外務省など後援)で最優秀賞を受賞した山東政法学院4年の張晨雨さん(20)が来日し、Record Chinaのインタビューに応じた。

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2016年2月25日、日本語を学ぶ中国人を対象とした第11回「中国人の日本語作文コンクール」(日本僑報社・日中交流研究所主催、日本外務省など後援)で、最優秀賞を受賞した山東政法学院4年の張晨雨さん(20)が来日し、Record Chinaのインタビューに応じた。「小学生の時、『ワンピース』など日本のアニメが大好きで、いつも見ていたことが日本語に興味を持ったきっかけ」と話した。将来は「日本の大学に留学し、ファッション関係の仕事をしたい」と語った。

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今回の「第11回中国人の日本語作文コンクール」には中国各地から過去最高となる4749人が応募した。張さんは日本に1週間招待され、日本の外務省や関係企業などを訪問した。(聞き手・八牧浩行

――今回、大阪のキャラクターやお笑いの世界を通じて日本人論をテーマとした作文『好きやねん、大阪』で最優秀賞に輝きました。訪日は今回が初めてなのに、大阪に興味を持ったのはなぜですか。

私の叔母は長年仕事で大阪に住んでいて、中国に帰ってくるたびに、「大阪人は日本人だけど、まるで中国人みたいだよ」と私に大阪の話をしてくれました。日本を代表する都市である東京と大阪を比べて書きました。実際には大阪に行ったことがないですが、本やWebで情報を調べて実態を把握しました。特にインターネット動画で観る大阪の漫才が好きです。叔母から「大阪人」の魅力について話を聞き、大阪の言葉や文化のとりこになりました。大阪人と関西弁で冗談を言えるような日を夢見ています。

――大阪の魅力や好きなところは?

アクセントが面白いと思います。中国の天津の方言ととても似ています。天津のアクセントは全国で有名で人気があると思います。大阪人は賑やかで情に厚く、はっきりものを言う傾向があり、本当に中国人と似ていると思うようになりました。

大阪のお笑い番組が大好きです。関西弁の漫才は私の故郷(黒竜江省ハルビン市)の「小品」にとても雰囲気が似ています。「ぼけ」と「つっこみ」は関西弁でないと面白さが伝わらない。少しずつ、日本語が分かるようになるにつれて、ますます、大阪に興味がわいてきます。

もっと、日本語を勉強して、いつか私はきっとこの目で本物の大阪を見に行きたいと思います。

――好きな日本のタレントは?

お笑いコンビの千鳥が好きです。ピースで芥川賞を取った又吉さんもとても頭がいいと思います。

――日本の漫画、小説は?

好きな日本人作家は東野圭吾で 『Xの献身』などを中国語で読みました。村上春樹よりも推理小説の方が好き。これから(東京の)本屋さんに日本語の本を買いに行きます。

漫才やアニメは主にネットを通じて観ています。中国語の字幕を作る人もいる。日本語の勉強にもなります。

――日本語を学習したいと思ったきっかけは何ですか?

小学校の時に日本のアニメ漫画を読み始めて、日本に興味を持ちました。私が一番好きなのは『ワンピース』。バスケットの『スラムダンク』も好きです。このほかの日本語の漫画もネットで観ます。大阪の映像などもチェックすることができます。中国語版ならテレビで見ることができます。日本の漫画は中国の若者にとても人気があります。

小学校の小さい女の子にはセーラームーンが人気でした。叔母さんが日本でどのような生活をしていたのかも、実際に行って見てみたいと思いました。

高校を卒業して自分が好きな専門を選べるようになったので日本語を専門として選びました。

――日中間が微妙な時期に、日本語を勉強するといった際、どのような反応がありましたが?

反対の声はありませんでした。両親からも賛成してもらいました。「自分の決定なので一生懸命勉強しなさい」と言われました。周りの友達なども、わたしの考えを支持してくれました。

――どんな勉強をしていますか?

今日本語学科の4年生ですが、3年前から日本語を学び始めた。中国人の先生から日本語の文法、単語などの授業があります。日本人の先生の会話と作文の授業があります。週1回ぐらいやります。

――今の日中関係をどう見ていますか?

反日デモ起こした時に比べれば、凄く仲良くなっていると思います。日本は中国人の旅行先としてトップクラスの人気があります。

民間文化交流は重要であり、交流によって誤解も少しずつなくなっていくと思います。これからも日中双方が情報を発信し続けて行くことが大事だと思います。

――初来日の印象は?

池袋、渋谷、銀座、東京タワーなどに行きましたが、日本は本当に私の想像の通り、とてもきれいな街です。街にゴミも一切ないし、人も非常に親切です。羽田から池袋まで一人で行きましたが、迷子になってしまいました。日本人のおじさんが目的地まで案内してくれました。

女の人の服装もきれいです。今の中国もきれいになっていますが…。

――将来の夢は?

ファッションデザインに関する仕事をしたいと思います。父は小さな婦人服製造工場を経営しており、自分でブランドも創っています。

6月下旬に大学を卒業予定ですので、来年4月に日本の大学に留学して経済などを学びたい。日本特有の文化について、もっと吸収したいと考えています。

<インタビューを終えて>ここ数年、「中国人の日本語作文コンクール」の最優秀賞者をインタビューしているが、年々作文表現力と洞察力が向上していることを実感する。次回16年の「第12回中国人の日本語作文コンクール」は、これまでと同様、日本への留学経験のない中国人学生を対象に、5月から作文の受け付けが開始される。毎年、60余りの受賞作が作品集として日本僑報社(段躍中代表)から出版され、日中両国で大きな反響を呼んでいる。こうした地道な取り組みを通じて日中の若者の相互理解がさらに高まることを期待したい。(Record China主筆・八牧浩行)

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

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