日本僑報社 2016年4月2日(土) 5時10分
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日本が誇るサブカルチャーである漫画やアニメは、中国でも若者を中心に人々の心をとらえている。東華大学の曹金芳さんは、そんな日本のアニメが繋いでくれた一つの縁について作文につづった。写真は教室。
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日本が誇るサブカルチャーである漫画やアニメは、中国でも若者を中心に人々の心をとらえている。東華大学の曹金芳さんは、そんな日本のアニメが繋いでくれた一つの縁について、作文に次のようにつづっている。
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「へえ、君も『HUNTER×HUNTER』が好きだったんだ」。隣の席の沈さんという男の子が不思議顔で話しかけてくれた。あれは中学生の時のことだった。
どのクラスにもいたずらをしていて成績が悪い男の子がいるが、沈さんはそんな生徒たちの一人だった。ある日先生から、「沈さんの隣の席に座って。何かあったら、私に報告しなさい」と言われた。あの沈さんの隣に座るなんて、絶対私の勉強の邪魔になると確信した。どうやって断ろうかと考えていたが理由が見つからず、結局、沈さんの隣に座ることになってしまった。
席が変わると、私はすぐにテープで机の真ん中に線を引いた。「この線を越さないで」と不満顔で沈さんに言い、勉強に夢中になっていた。あの頃の私はガリ勉少女だった。いつも勉強ばかりの生活を送っていた。唯一の楽しみといったら、アニメを見ることだった。小学生の時、『名探偵コナン』『スラムダンク』などのアニメが流行していた。放課後、テレビでアニメを見ることを毎日楽しみにしていた。飽きずに同じアニメを何回も見続けたこともある。そして、毎週『動漫週刊』という雑誌を買い、最新のアニメ情報を集めていた。
『HUNTER×HUNTER』が好きになったのは中学の頃だった。「ゴン、俺が守る。だって友達だもん。俺の大事な友達だもん。絶対失いたくない」と主人公のキルアが泣きながら叫んだ言葉が脳裏に焼き付いた。殺し屋として育てられてきたキルアはいつも冷酷で、他人の命を見捨てていた。しかし、そんなキルアはゴンを守るために、自分の命さえ捨てる覚悟で戦い続けていた。私は二人の友情に感動した。だが、このアニメのお陰で、あいさつ以外の言葉を交わさなかった沈さんと私が仲良くなるなど、思いも寄らなかった。
ある日の自習中、沈さんに「教科書を貸してくれない?」と頼まれた。宿題のためなら貸してあげようと思い、教科書に『HUNTER×HUNTER』の主人公の落書きをしたこともつい忘れ、教科書を渡してしまった。「へえ、君も『HUNTER×HUNTER』が好きだったんだ」と沈さんは言った。しまった。あんな下手な絵を見られてしまった。私は恥ずかしくなって赤面した。なぜ貸す前に気づかなかったのか。
「まあまあ上手だね。僕も『HUNTER×HUNTER』好きだよ。でも、やっぱりゴンの方がかっこいいと思う」と沈さんが言った。「違う。キルアの方がかっこいいもん」と私は思わず言い返した。気づいたら、自習の時間は二人のアニメ論争になってしまっていた。それからというもの、沈さんといつもアニメの話をするようになった。自習中こっそり漫画を読んでいる沈さんをかばったこともある。今にして思えば、本当に楽しい時間だった。
大学生になった今も、私はアニメを見続けている。ACG(日本のアニメ・コミック・ゲーム)の世界は沈さんと私のような性格の違う人を結ぶことができるし、ACGの世界でなら何でも体験できるからだ。(編集/北田)
※本文は、第十回中国人の日本語作文コンクール受賞作品集「『御宅』と呼ばれても」(段躍中編、日本僑報社、2014年)より、曹金芳さん(東華大学)の作品「アニメで出会った仲間」を編集したものです。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。
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