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論争の絶えないオバマ氏広島訪問、安倍首相の憲法改正の新たな口実に―中国メディア

人民網日本語版    2016年6月1日(水) 19時10分

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オバマ米大統領の先日の「広島訪問」は「政治的遺産づくり」という私心に事欠かないが、それ以上に安倍晋三首相の利益のために骨を折った側面が大きいようだ。写真は広島の平和記念公園。

オバマ米大統領の先日の「広島訪問」は「政治的遺産づくり」という私心に事欠かないが、それ以上に安倍晋三首相の利益のために骨を折った側面が大きいようだ。ニューヨーク・タイムズは先日「長年広島に代表されてきた日本平和主義は、オバマ大統領の今回の訪問で転向するのだろうか?」との問いを発した。答えは知る由もない。だが7月の参院選を前に、憲法改正へ動き出そうとしている安倍氏が、これを機に騒ぎ立て、得票数を伸ばそうと図り、改憲推進の新たな契機を探ることは、予見可能な必然的選択肢だ。人民日報海外版が伝えた。

■長い間地ならしをしてきた訪問

キューバとの国交回復、イラン核問題の解決に続き、オバマ氏は現職米大統領として初めて広島を訪問し、自らの「外交的遺産リスト」に新たな一筆を慌ただしく加えた。AP通信は「G7サミット出席のため訪日したオバマ大統領は27日、広島・平和記念公園の慰霊碑で献花を行ない、入念に準備した方法で戦争の恐怖を簡潔に反省し、広島の惨禍が人々の『道義的覚醒』となることを望むとした」と報じた。オバマ氏は訪問前に述べたように、原爆投下について謝罪はせず、日本国民の一部に不満を抱かせたが、AP通信は「オバマ大統領が広島に姿を現わしただけで、おわびの意と理解されるに十分だ」との見方があることを報じた。

オバマ氏にとっては「綱渡り」のような今回の外交活動だが、安倍氏にとっては長らく待ち望んできた、歓迎すべき大きな慶事であることは間違いない。これに先立ち、今年4月にケリー米国務長官が現職の米国務長官として初めて広島を訪問し、オバマ氏のために先乗りを務めた。「これまでに前任と現任の駐日米国大使も広島を訪問した。安倍政権がオバマ氏の広島訪問のために長い時間をかけて地ならしをしてきたことが見てとれる」と、中国社会科学院日本研究所の呂耀東研究員は分析した。

■改憲推進の新たな契機

安倍氏が実現に力を尽くし、心から歓迎しているのには理由がないわけではない。指摘されるように、安倍氏がオバマ氏から贈られたのは「手厚い贈り物」だ。7月の参院選を前にした安倍氏にとって、国民の支持率を高め、得票数を伸ばすことは喫緊の課題だ。「G7サミットの開催とオバマ氏の広島訪問が安倍政権の『外交的成果』となり、次の選挙で加点となることは間違いない」と呂氏は指摘した。

国民の支持を勝ち取るのであれ、選挙で勝利を勝ち取るのであれ、安倍氏の最終的目的はやはり改憲だ。安倍氏はオバマ氏の広島訪問を利用して、改憲推進の新たな契機を探ると一般的に見られている。「安倍氏が戦後日本の平和主義を反対に利用しようとしているのは明らかだ。つまりオバマ氏の広島訪問を利用して、日本がすでに平和国家であるうえ、世界平和の維持に一層積極的な役割を発揮できると強調して、改憲推進の新たな機会とするのだ」と、国際関係学院国際政治学部の孟暁峰准教授は指摘した。

広島でのオバマ氏の言動も安倍氏への「援護射撃」となった。オバマ氏は広島で多くのことを語ったが、当時の全ての悲劇の源が日本による軍国主義侵略戦争の発動にあることは明言しなかった。「オバマ氏がこのように戦争の因果関係を曖昧にしたことは、日本国内の歴史修正主義をさらに助長し、最終的には『被害者』としての日本のイメージを強め、日本国民をミスリードして第2次大戦について誤った歴史認識を抱かせ、改憲の口実を得るよう安倍氏に利用されうる。つまり『平和憲法』は特定の時期に米国が押しつけたものなので、今改正する必要があるというものだ」と呂氏は指摘した。

実際、以前安倍氏が憲法改正案を打ち出した重要な理由の1つが、まさに戦後日本が課せられた制約はすでに時代後れだとの考えだ。

■企てを阻む力

報道によると、現地で連日行なわれていたオバマ氏広島訪問に反対する抗議活動は訪問当日も継続された。民衆の最大の批判の声の1つが、安倍政権がオバマ氏訪問によって侵略の歴史を清算し、歴史の重荷を振り捨て、新たな戦争発動の準備をしようとしているというものだ。「こうしたデモは、オバマ氏であれ安倍氏であれ今回の『広島訪問』を利用して政治パフォーマンスを行ない、それぞれ自らの利益を図っていることを、日本の民衆がすでに目の当たりにしたことを物語っている」と呂氏は指摘した。ニューヨーク・タイムズも、安倍氏がG7サミットとオバマ氏の「広島訪問」の力を借りて改憲プロセスを推進するのは難しいと率直に指摘した。安倍氏は改憲に必要な政治的支持をまだ得ていないし、いつまでも得られないだろうと考える専門家も少なくないことを指摘した。

日本では憲法改正は衆参両院の3分の2以上の賛成を得たうえ、国民投票で大多数の有権者の支持を得る必要があると定めている。現時点では、安倍氏が7月の参院選の関門を順調に突破するのはそれほど容易ではない。安倍氏への国民の信頼は低迷続きの国内経済によって下がっている。日本紙の世論調査では、安倍内閣支持率は2カ月続けて下落した。その最大の理由が経済政策への不満だ。

「現在日本経済は依然様々な問題を抱えているうえ、最近沖縄で遺体遺棄事件が起きて民衆の強烈な反響を引き起こしている。安倍氏の改憲の道は余り順調な歩みとはならないだろう」。孟氏は「現在の日本国内の政治と経済の現状を考えると、安倍氏は改憲という国民全体の支持が必要な問題において余り大きな動きを軽々に起こす勇気はないし、その力もない」と指摘した。(提供/人民網日本語版・編集/NA)

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