マレーシア−シンガポール高速鉄道、日中の戦いか―中国メディア

人民網日本語版    2016年8月22日(月) 16時40分

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マレーシアとシンガポールは7月19日、マレーシア-シンガポール高速鉄道の建設に関する了解覚書に調印した。

マレーシアとシンガポールは7月19日、マレーシア-シンガポール高速鉄道の建設に関する了解覚書に調印した。この地域の相互連携を促進する重大インフラプロジェクトが前に向かって重要な一歩を踏み出したことが、外界の注目を集めている。高速鉄道技術を擁し、入札に参加する意志のある国や企業は、来る入札に備え急ピッチで準備を進めている。両国メディアと一連の業界アナリストの間では、同高速鉄道は主に中国と日本との競争になり、マレーシアでは中国がやや有利との見方が広がっている。新華社が伝えた。

▽注目を集めるのはなぜ?

現在、マレーシアのクアラルンプールとシンガポールを結ぶ主な交通手段は道路と空路だ。道路は通行量に限界があるため、祝休日やラッシュ時はすぐ渋滞になる。特にマレーシア南部ジョホール州とシンガポールを結ぶジョホール・シンガポール・コーズウェイは渋滞がひどい。空路はクアラルンプールからシンガポールに向かった旅客が通常着陸するクアラルンプール国際空港ともう一つの小規模な空港は、いずれもクアラルンプールの中心部からそれなりの距離があり、移動には時間と費用がかかる。

計画によると、同高速鉄道は全長350キロメートルで、最高時速は300キロメートルを超える。クアラルンプールとシンガポールをそれぞれ起点(終点)とするほか、沿線に6駅が設置され、すべてマレーシア国内に設置される。

同高速鉄道はクアラルンプールとシンガポールとの移動時間を2時間半に縮小し、一番速い列車だとわずか90分になるという。両国はもとより、東南アジア地域の相互連携を効果的に促進するものと期待される。

7月の了解覚書調印式の席で、マレーシアのナジブ・ラザク首相とシンガポールの李顕竜(リー・シェンロン)首相はどちらも、「マレーシア-シンガポール高速鉄道は両国国民の生活スタイルを変える可能性がある」との見方を示した。双方が発表したタイムテーブルによると、両国政府は年内に正式な二国間合意に調印できるよう努力し、2026年の開通を目指すという。

▽各方面が意欲示す

マレーシアも政府もシンガポール政府も同高速鉄道プロジェクトの予算を発表していない。現地メディアの試算によると、100億ドル(1ドルは約100.1円)から150億ドルになるという。プロジェクトのスタートが明らかになると、高速鉄道技術をもつ国・企業はさっそく興味を示した。

昨年10月、両国は同高速鉄道に対する意見や関心を公開募集し、ビジネスや技術的問題に対する業界の声を集め、今後の二国間での話し合いや入札の参考資料とした。企業・連合体から98件の回答が集まり、欧州からは56件、中国や日本など東アジア諸国からは14件だった。

同高速鉄道の入札はまだ始まっていないが、各方面はすでに力を入れ始めている。中国と日本はマレーシアで高速鉄道に関する展示会とシンポジウムを開催し、韓国の韓国高速鉄道(KTX)はクアラルンプールの大規模ショッピングセンターで1店舗を借り上げ、自国の高速鉄道技術を展示アピールした。

マレーシアとシンガポールが高速鉄道をめぐり一致したことにより、入札を検討する国は両国政府に対する宣伝やロビー活動を盛んに行っている。マレーシア交通省の廖中莱(リオウ・ティオングライ)大臣がソーシャルネットワーキングサービス(SNS)で明らかにしたところによると、マレーシアとシンガポールが覚書に調印した前後の今年の6月から7月にかけて、韓国国土交通部の姜鎬人大臣、日本の国土交通省の石井啓一大臣、マレーシア、オーストラリア、中国によるマレーシア航空370便捜索をめぐる3カ国閣僚会合に出席するためマレーシアを訪れた中国交通運輸部(交通運輸省)の楊伝堂部長とそれぞれ会談したという。

▽中国が優位

両国メディアや一連の業界アナリストの間では、同高速鉄道は主に中国と日本との競争であり、マレーシアでは中国がやや有利との見方が広がる。韓国も強い関心を抱き、日中が激しい競争を繰り広げる中で有利な位置に立とうとしている。

今年5月、中国鉄路総公司の盛光祖社長が中国企業の連合体代表団を率いて両国を訪問し、関連当局の関係者と会談した。

盛社長は、「中国企業連合体は高速鉄道プロジェクトの調査研究を終えている。総合的技術プラン、投融資モデル、運営管理、土地の総合開発など多くの課題について掘り下げた研究を済ませており、マレーシア-シンガポール高速鉄道プロジェクトの実施に向けて、投融資、プロジェクト建設、設備製造、運営管理、総合開発、人材育成など系統的なソリューションを提供することが可能だ。中国企業連合体は両国の法律と国際的な慣例に従い、公開、公正、公平な環境の下で同高速鉄道プロジェクトに参加し、互恵・ウィンウィンの原則に基づいて、中国高速鉄道の発展経験を両国と共有したい」と述べた。

マレーシアの交通ルール専門家・呉木炎(ゴー・ボックエン)氏は、「入札に参加する各方面は技術的には目立った差がない。マレーシア-シンガポール高速鉄道のような大型インフラ建設において、中国はビジネスの観点やビジネスモデルをよりどころとして入札に参加するだけでなく、政治、経済、文化、教育の各方面に関わる一連の友好的な措置を起点とし、同時に人々の支持も得ようとしている。たとえば中国中鉄株式有限公司は計画で同高速鉄道の始発駅とされるマレーシア『大馬城』のプロジェクトに参加し投資している。中国中車集団孔子はマレーシアのASEAN製造センターで昨年、運営に投資し、同センターは高速鉄道車両の製造能力をもつようになった」と話す。

呉氏の言葉のように、マレーシア-シンガポール高速鉄道の入札には政治的な要素があり、始まるまではすべての面に変数が存在するといえる。このプロジェクトを争うのはマラソンを走るようなもので、実力が試されるだけでなく、忍耐力も必要になる。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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