<コラム>中国ビジネス成功の秘訣=嫌中嫌韓の先にある実情をまるっと受け入れるべし!

大串 富史    2016年8月31日(水) 15時10分

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中国で日本のモノを売るという今はやりの中国ビジネスに「参戦」したいと思う時、鉄則があるとすれば、それは中国流「中抜き社会」の実情を受け入れることにある。写真は中国で売られているメガミンクス。筆者撮影。

中国で日本のモノを売るという今はやりの中国ビジネスに「参戦」したいと思う時、一番のキモ・常勝の秘訣・これだけはという鉄則があるとすれば、それは中国流「中抜き社会」の実情というものをまるっと受け入れることにある。

ご興味がおありの方は、この点を分かりやすくも興味深く解説した『深層中国〜巨大市場の底流を読む 中国流「中抜き社会」が生まれるワケ〜大乱戦の市場をどう生きるか』と題するコラムをまずはご一読いただきたい。このコラムにあるような『「13億総商売人」的な中国人の気質を活用』することが、中国ビジネスで成功するカギとなる。とはいえまずその前に、この実情をまるっと受け入れるだけの柔軟な思考こそが必要であろう。思うに、日本人にとってこれがなかなか難しい。

●まずは嫌中嫌韓の先にある実情をまるっと受け入れる。

聞けばいわゆる「嫌中(嫌韓)」本をどう扱えばいいのかという、出版側や書店側の対応のあり方が論議されているという。嫌中という事象は現実であって、こうした実情もまるっと受け入れる必要があろうが、その先にあるあちらの実情――つまりなぜ彼ら彼女らはああいった言動を取るのかという行動原理のようなものをまるっと受け入れることもまた、中国ビジネスの成功には必須となる。

とはいえこちらの実情というノイズをかき分けてあちらの実情をいわば聞き分けるのは簡単ではない。一番簡単かつ確実な方法は僕や前述のコラムの筆者のように中国人と結婚して中国に住めばいいのだが、そうもいかない大多数の方々にお勧めしたいのは、そういう半ば中国人な日本人の話をよくよく参考にすることだ。そうすると『「13億総商売人」的な中国人の気質を活用』ということの意味が見えてくる。

●「13億総商売人」的な中国人の気質とは?

たとえば中国嫁である僕の妻は以前「(実家の青島に)食堂を開くという話を親族から持ち掛けられているんだけど、絶対成功すると思う」としきりに僕に話していた。以前外食業界にかかわっていた僕は親族とはいえ他人とそんなことを始めたら生活そのものがコントロール不能になることが分かっていたので全然乗り気でなかったのだが、そうこうしているうちに親族の一人がいつの間にか食堂を開いてしまった。そして妻の言っていた通り、猫の手も借りたいほどの大盛況なのだ。

これが日本だったら、どうだったであろうか。ずぶの素人が思い込みで食堂を開いて大盛況などという可能性はおろか、出店そのもののハードルが高いし、だいいちそのような発想そのものが日本人にとって異質ではなかろうか。しかし「13億総商売人」的な中国人の気質からすれば、素人のリアル出店さえ日常茶飯事なのだ。そんな僕の妻が、今度はウェイシャン(微商)に出店したいと言い出してきた。ご存知の方もあろうかと思うが、中国版ツイッターであるウェイシン(WeChat・微信)上で個人がモノを売り買いできる日本のヤフオクにも似たシステムを使って誰でも気軽に出店が可能になっている。でどうなるかというと、文字通り中国全土が知人友人親族を巻き込んでの大乱戦となっており、妻もずぶの素人な複数の友人から「売りたいものがあったら売ってあげるから」と声をかけられているほどだ。

●中国流「中抜き社会」な大乱戦の市場に「参戦」してみる。

それで僕と妻は「あるモノ」をウェイシャンで売って、プチ商売をしてみようなどと計画を立てている。日本にあって中国になく、中国でそれなり売れていて、中国でバカ高い値段で売られているものの中から商品を選び、日本出張の際に個人で中国に持ち込める制限内で持ち帰ればそれで済む。あとは正直、勝手に話が進んでいくのだろう。しかしこれが日本だったら、どうなのか。たとえば中国の2倍の値段で売られているメガミンクスというパズルをヤフオクで売るのはどうかと調べたのだが、仮にすべての条件をクリアしても正直アマゾン等に既に出張っている中国の業者には対抗できそうにない…などと既に諦めている。

なぜならこちらがささやかに出品したが最後、相手の中国の業者は中国並みの価格競争を仕掛けてくるに違いなく、在庫を抱えてしまうのは目に見えているからだ。しかも日本では個人がモノを売ることそのものへのハードルがあまりに高い。ところがその逆に、日本人が中国で日本のモノを売るのは個人でさえ勝算がある。「そんなコワいこと、わたしにはできません!」と思われる前に、中国人になったつもりでとりあえずやってみたらいい。必要に応じて、中国人と直にコミュニケーションが取れるよう中国語も勉強したらいい。こうした柔軟な思考こそが、中国ビジネス「参戦」の一歩手前ということになる。

■筆者プロフィール:大串 富史

本業はITなんでも屋なフリーライター。各種メディアでゴーストライターをするかたわら、中国・北京に8年間、中国・青島に3年間滞在。中国人の妻の助けと支えのもと新HSK6級を取得後は、共にネット留学を旨とする「長城中国語」にて中国語また日本語を教えつつ日中中日翻訳にもたずさわる。中国・中国人・中国語学習・中国ビジネスの真相を日本に紹介するコラムを執筆中。

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