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「国連北朝鮮人権決議案の採決前、北朝鮮に意見を求めた後に棄権」。韓国で盧武鉉政権当時の外交通商相の回顧録が波紋を呼んでいる。背景には次期大統領選をにらんだ与野党の駆け引きもちらついている。
2016年10月21日、韓国で盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権の外交通商相を務めた宋旻淳(ソ
ン・ミンスン)氏が、このほど出版した回顧録が物議を醸している。07年の国連北朝鮮人権決議案の採決前、北朝鮮に意見を求めた後に棄権した、と明らかにしたためだ。背景には次期大統領選をにらんだ与野党の駆け引きも見え隠れする。
宋氏は盧政権で北朝鮮核問題をめぐる6カ国協議の韓国首席代表などを歴任し、06〜08年に外交通商相を務めた。08年の国会議員総選挙では盧大統領の流れをくむ統合民主党の比例候補となり当選。今月上旬、北朝鮮の核放棄を定めた05年の6カ国協議共同声明などを振り返る回顧録「氷河は動く」を出版した。
聯合ニュースなどによると、この中で宋氏は、07年11月18日に盧大統領が主宰した会議で、北朝鮮人権決議案への賛成を求める自身と棄権を支持する出席者らの間で論争が激化。金万福(キム・マンボク)国家情報院長が北朝鮮に直接意見を求めることを提案し、盧大統領の秘書室長だった文在寅(ムン・ジェイン)氏(最大野党「共に民主党」前代表)がこの提案を受け入れ、南北ルートを使って北朝鮮の立場を確認するとの結論を出したと暴露した。
文氏は“ポスト朴槿恵(パク・クネ)”を争う来年12月の次期大統領選で、「共に民主党」の有力候補の1人。青瓦台(大統領府)の報道官は回顧録の内容について「事実なら非常に重大かつ深刻なことで、衝撃的だ」と述べた。
与党の「セヌリ党」は「北と内通した」などと文氏の対応を問題視。国会外交通商委員会による国政監査の席で、「国の基盤を揺るがす大問題だ」「与野党合意の上で調査委員会を立ち上げ、問題の回顧録と関連する文書の内容などを確認し、事実関係を究明しなければならない」などと主張した。
保守系の朝鮮日報も「韓国大統領選有力候補、文在寅氏の『北にお伺い』疑惑」との社説を掲載。「文氏は野党側の大統領候補の中では最も高い支持率を維持している。しかし、文氏がこの重大問題で本当に北朝鮮の意向を伺い、それによって人権決議案への棄権を決めたとなれば、有権者はこのことを理解した上で投票に臨まねばならない」と批判した。
これに対し、文氏はフェイスブックを通じてコメント。問題の核心となる「自らが北朝鮮の意向を確認したかどうか」については直接の言及を避ける一方、「盧大統領は多数の意見を聞いて(人権決議案採決の)棄権を決めた」と説明している。
盧大統領は対北朝鮮政策で金大中(キム・デジュン)政権の太陽政策を継承して、徹底的な融和路線を打ち出した。宋氏の回顧録は当時の政権内部の雰囲気をうかがわせる。しかし、北朝鮮が核・ミサイル開発に突き進む現在、「親北」のレッテルは致命傷になりかねない。回顧録は次期大統領選の行方にも影響しそうだ。(編集/日向)
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