<コラム>朝鮮レア飯紀行、朝鮮大学校学食のクッパはなぜ絶品なのか?

北岡 裕    2016年12月1日(木) 15時30分

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11月12日に朝鮮大学校(東京都小平市)で行われた創立60周年記念国際シンポジウム「海外コリアンの民族教育と朝鮮大学校―歴史、その現在と未来と―」に招待された。写真は朝鮮大学校学食のクッパ。筆者撮影。

11月12日に朝鮮大学校(東京都小平市)で行われた創立60周年記念国際シンポジウム「海外コリアンの民族教育と朝鮮大学校―歴史、その現在と未来と―」に招待された。心配だったのは昼食。何度か朝鮮大学校には行ったことがあるが周辺に飲食店やコンビニが余りない。さてどうしようと考えていたら、学食の食券が支給された。実は日本人が朝鮮大学校の学食で食事をする機会はなかなかない。当日会った知己のある編集者も「私も何度か来たけれど学食は初めて」と話していた。

メニューはクッパとキムチ。白メシは白メシ、おかずはおかずで食べたい派の私はクッパは少し苦手。しかし一口食べてみるとたまらぬ旨さ。ただ辛いのではなく味に深みがあるのだ。調味料をバランスよく色々使っていることが素人にもわかる味。キムチも唐辛子以外の調味料がしっかり味を主張している。そして普段食べられない朝鮮大学校の学食で食べるレア感も趣味者にとっては極上のスパイス。あっという間に平らげてしまった。

朝鮮大学校OBに聞くと「おめでとうございます。クッパは当たりメニューです」と口をそろえる。全寮制の朝鮮大学校ではほとんど食事を学食でとる。他の当たりメニューを聞くと「一定の曜日の朝食に出るスパゲッティ」、「ビビンバ」など。一方でがっかりメニューもあり、知己のあるOB女性は「山菜うどん」をあげた。OB、OGたちの聞き込みによると、どうやら「外部のお客さんが来る場合クッパの確率が高い」ようだ。

朝鮮大学校の文化祭や朝鮮学校の公開授業の際に野外で食べる焼肉は別格(これについては別の機会に書きます)として、大当たりのクッパを食べたのは実は初めてではない。以前、ある朝鮮学校の公開授業の取材の際に食べたクッパも絶品だった。

朝鮮学校で食べるクッパがなぜ美味しいか。あるOBは話す。「作り手の立場でいうと大鍋で一気に作ることが出来てクッパは楽なのです。そして作り慣れている分、美味しくするコツも知っているのです」と話す。公開授業の際は焼肉店を経営する在日朝鮮人の方、つまりプロが給食室で作っていた。

秋は文化祭の季節。この時期に合わせて朝鮮大学校をはじめとする朝鮮学校でも公開授業やオープンキャンパスが行われる。機会があれば政治的な問題は一旦ノーサイドとしてぜひ行ってみてほしい。そしてクッパを見つけたら、四の五の言わず食べるべきである。

■筆者プロフィール:北岡裕

76年生まれ。東京在住。過去5回の訪朝経験を持つ。主な著作に「新聞・テレビが伝えなかった北朝鮮」。コラムを多数執筆しており、朝鮮総連の機関紙「朝鮮新報」では異例の日本人の連載で話題を呼ぶ。講演や大学での特別講師、トークライブの経験も。

■筆者プロフィール:北岡 裕

1976年生まれ、現在東京在住。韓国留学後、2004、10、13、15、16年と訪朝。一般財団法人霞山会HPと広報誌「Think Asia」、週刊誌週刊金曜日、SPA!などにコラムを多数執筆。朝鮮総連の機関紙「朝鮮新報」でコラム「Strangers in Pyongyang」を連載。異例の日本人の連載は在日朝鮮人社会でも笑いと話題を呼ぶ。一般社団法人「内外情勢調査会」での講演や大学での特別講師、トークライブの経験も。過去5回の訪朝経験と北朝鮮音楽への関心を軸に、現地の人との会話や笑えるエピソードを中心に今までとは違う北朝鮮像を伝えることに日々奮闘している。著書に「新聞・テレビが伝えなかった北朝鮮」(角川書店・共著)。

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