浦上 早苗 2017年1月4日(水) 19時50分
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中国は2016年前半の出生者数が6.9%増え、政府関係者によるとそのうち4割が第2子だったという。写真は筆者撮影。中国の小学生の教室の一コマ。ほとんどが一人っ子だ。
2016年、日本の出生者数は1899年以来初めて100万人を割り込む見通しとなった。第2次ベビーブーマーの私と同じ年に生まれた子供は200万人以上いる。国の将来を心配しつつも、「今の子供は受験が楽でいいなあ」とうらやましかったりする。
対して中国は今年前半の出生者数が6.9%増え、政府関係者によるとそのうち4割が第2子だったという。
中国は2015年12月27日に、一人っ子政策の完全廃止を決めた。その少し前から「両親が一人っ子なら第二子を生んでもいい」など、規制は少しずつ緩和されていたが、完全廃止のインパクトは大きく、周囲もしばらくはその話題でもちきりだった。
近くのマンションには「一人っ子政策廃止で、より広い家を」と書かれた大きな垂れ幕がかかった。日本の紙おむつがバカ売れしている育児用品も、市場拡大が期待される。また、新聞には、「1980年代生まれは自分たちの生活でいっぱいいっぱいだ。今後しばらくは、1970年代生まれが2人目出産の主力となるだろう」と書かれていた。
その通り、私の職場でも、出産のタイムリミットが近い30代後半の同僚たちの目の色が変わった。
海外の大学に博士留学していた30代後半の女性は、第2子出産を視野に、休学を決めた。夫と別居している別の同僚も、2人目の子作りのために「わざわざ」(本人談)夫に会いに行くようになった。
自分の国ではさまざまな少子化対策にもかかわらず出生数が減少しているためか、日本人の間では、一人っ子政策が廃止されても中国の人口は簡単には増えないとの見方もあるが、少なくとも私の同僚のような教育熱心で経済力がある層は、「兄弟がいる方が、子供の情操教育にプラス」という考えも後押しし、2人目出産に積極的だ。
4年ほど前、中国人の女性グループと食事をした。そのうちの1人は、罰金を払って2人目の子供を産んでおり、罰金の額や2人の子育てについて質問攻めにあっていた。
私と同い年の女性が、「私も2人目が欲しくて、ずっと夫と話し合っている。罰金を払ってもいいけど…」と言うと、その罰金を払って2人目を産んだ女性はこう答えた。「他の方法があるはず。今はなくても、2、3年後には状況が変わっていく」。彼女が、一人っ子政策の撤廃を見通していたわけではないだろうが、今の中国は、あらゆる制度が変革期にあるということだろう。
■筆者プロフィール:浦上早苗
大卒後、地方新聞社に12年半勤務。国費留学生として中国・大連に留学し、少数民族中心の大学で日本語講師に。並行して、中国語、英語のメディア・ニュース翻訳に従事。日本人役としての映画出演やマナー講師の経験も持つ。
■筆者プロフィール:浦上 早苗
1974年生まれ、福岡市出身。早稲田大学政治経済学部卒業、九州大学大学院経済学府修了。大卒後、地方新聞社に12年半勤務。その後息子を連れ、国費留学生として大連に博士課程留学…するも、修了の見通しが立たず、少数民族中心の大学で日本語講師に。並行して、中国語、英語のニュース翻訳に従事。頼まれて映画に日本人役として出たり、マナー講師をしてみたり、中国人社会の中で、「日本人ならできるだろ」という無茶な依頼に、怒ったりあきれたりしながら付き合っています。マスコミ業界の片隅に身を置いている経験から、日米中のマスから見た中国社会と、私の小さな目から見たそれの違いを少しでもお伝えできれば幸いです。SNS:WeChat「sanadi37」、Facebookはこちら(※フォローの際はメッセージ付きでお願いいたします。)ブログはこちら
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