人民網日本語版 2017年1月28日(土) 7時10分
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米国のトランプ大統領は23日、環太平洋経済連携協定(TPP)から離脱するとした大統領令に署名した。
米国のトランプ大統領は23日、環太平洋経済連携協定(TPP)から離脱するとした大統領令に署名した。アナリストは、「これは米国の貿易政策が全く新しい時代に入ったことを意味する。未来のトランプ政権の貿易政策が国際協力から距離を置いたものになるかが各方面の注目点となっている」と話す。
▽トランプ大統領はなぜTPPを放棄したのか?
トランプ大統領がTPP離脱の大統領令に著名するのは選挙戦での公約であり、予想されたことだった。
2016年の米国大統領選挙は経済政策、貿易政策、移民政策に対する米国民の日々募る懸念を反映したものとなった。グローバル化と自由貿易は米国経済を成長させたが、国内の製造業は不振に陥り、製造業で働く人々は十分な支援を受けられず、昨年の選挙では最終的に米国民の反グローバル化の潮流がわき起こることになった。
トランプ大統領は米国民が直面する経済的苦境は主に貿易と貿易協定によるものとの見方を示す。選挙戦ではTPPが米国の製造業に致命的な打撃をもたらすと述べ、就任初日に離脱すると表明していた。さらに大規模な地域貿易協定には今後署名せず、1対1の二国間貿易協定の交渉を重視するという姿勢も示していた。
▽米国のTPP離脱の意味は?
昨年2月、TPP交渉に参加する12カ国が協定文書に調印したが、TPPが正式に発効するには参加国の立法機関による承認が必要だった。現在、日本だけが国会での承認手続きを終えている。
米戦略国際問題研究所のマシュー・グッドマン上級アドバイザーは、「TPPの関連条項は、発効には6カ国以上の立法機関の承認が必要であるとするほか、これらの国の経済規模が全参加国の国内総生産(GDP)合計の85%以上を占めなければならないとする。つまり、TPPの発効には米国と日本での承認が不可欠だということだ」と話す。
ピーターソン国際経済研究所のゲイリー・ハフバウアー上級研究員は、「TPPはまだ発効していないが、米国の離脱にはシンボル的な意味合いがあり、米国とカナダやメキシコなどの貿易パートナーとの関係に重大な変化が起こるとみられる」と指摘する。
グッドマン上級アドバイザーは、「トランプ政権は多国間協定より二国間協定の方が米国の利益を保護することができると繰り返し強調してきた。ここからトランプ政権の貿易政策は米国のこれまでの貿易政策と全く異なったものになることがうかがえる。米国のTPP離脱は経済パートナーとして、また戦略的パートナーとしての米国の信頼性に極めて大きな損害を与えるものとなる」との見方を示す
▽今後、米国議会はどのような貿易政策を採用するか?
ホワイトハウスのスパイサー報道官は同日、「この大統領令への署名は米国の貿易政策が新たな時代に突入したことを示すものだ。トランプ政権は今後、米国の盟友やその他の国々と二国間貿易の機会を発掘していきたい」と述べた。
ホワイトハウスのサイトで明らかにされたトランプ政権の貿易戦略プランをみると、米国はTPPからの離脱後、北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉の推進に力を傾けるとしている。トランプ大統領もこれに先だって、「カナダとメキシコ両国の首脳と会談し、NAFTAの再交渉について話し合う」と述べている
ホワイトハウスがこのほど発表したところでは、今後は貿易をめぐる法執行(エンフォースメント)に力を入れるという。トランプ大統領も、「製造拠点を国外に移転させた米国企業には、高率の関税を課す」としている。
主要な経済学者は、「トランプ大統領の貿易政策は、特に国外で製造し米国市場で製品を販売する企業に対し(高い)関税をかけるといった恫喝的なやり方は米国の競争力を弱めるものであり、米国と他国との貿易摩擦を増大させる可能性もある。世界銀行や国際通貨基金(IMF)を含む国際機関はどこも、保護貿易主義の台頭などのリスクはグローバル経済の成長にとって脅威になるとの見方を示している」と述べる。
こうしたことから、TPP離脱は米国の貿易政策が国際協力から距離を置いたものになることを暗示していないか、未来のグローバル協力にどのような影響を与えるかといった点が、グローバル化時代の今、各国が特に関心を寄せる問題となっている。(提供/人民網日本語版・編集/KS)
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