<点描・北京五輪>朝倉浩之の眼・五輪成功が大きな焦点、「両会」開幕=チャン・イーモウは…

Record China    2008年3月6日(木) 15時50分

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中国の全国政治協商会議が3日開幕し、北京は人民大会堂付近を中心に厳戒態勢に入った。各界や地方、民族の代表2000人が北京に集結する。写真はチャン・イーモウ監督。

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■五輪成功が大きな焦点、「両会」が開幕 チャン・イーモウは…

中国の政治の最高機関のひとつ、全国政治協商会議が3日開幕し、北京は人民大会堂付近を中心に厳戒態勢に入った。各業界や地方、各民族の代表2000人が北京に集結する。今年は何と言ってもオリンピックイヤーということで、北京五輪に関する議題になるのは間違いない。新華社の記事も「非凡な1年、非凡な両会(政治協商会議と人民代表大会のこと)」という記事を掲げて、オリンピックイヤーならではの特別な『政治の舞台』となることを予感させている。物価の高騰や地方の農民問題など、中国の問題は山積みだが、このブログではこの期間中、とりあえず、五輪関連の話題やエピソード等に絞って、紹介していきたい。

昨日の主役は、何といっても「代表」の一人として、人民大会堂に現れた映画監督のチャン・イーモウだろう。8月8日の開幕式の総合演出を担当するチャン・イーモウ氏は車から降り立った瞬間に、何十人もの記者陣に囲まれ、質問攻めにあった。焦点は『開幕式の準備状況』と『スピルバーグ氏の芸術顧問退任』である。

スピルバーグ氏については「少し残念だ」としつつ、「彼の退任は開幕式に何ら影響はない」と述べた。

また開幕式の準備状況については、現在すでに1万人規模の予行練習を行っていることを明かし、式典の成功について「自信はある」と言い残し、人民大会堂に入っていった。

■政協会議委員に名を連ねる“北京五輪の華”

昨日開幕した全国政治協商会議の代表名簿の中に、一際、目を引く名前があった。

陸上110m障害の世界記録保持者である劉翔、そして女子テニスのダブルスで全豪、全英オープンを制した鄭潔の二人である。

全国政治協商会議には、政界だけでなく、芸能界、スポーツ界、そして『出稼ぎ者』などあらゆる“業界”の代表が名を連ねている。

その中の『スポーツ界』代表として、選出された二人だが、いざ蓋を開けてみると、彼らの姿はなかった。

それもそのはず、まず中国の陸上代表はインドア大会に出場するため、今月1日、スペインに向けて旅立っており、もちろん劉翔はその中の一人。関係者によると「五輪という大切な大会を前に(会議は)欠席せざるを得なくなった。少なくとも大会が終わる9日までは北京に帰れない」と語っている。

鄭潔も海外のツアーを転戦しており、1日までドバイでの大会に出場していた。この時期に北京に2週間張り付くなど、全くありえない日程となっている。

だが、劉翔に関して言えば、すでに1か月以上前に、この予定は明らかとなっており、会議に出席できないことは分かっていた。つまり、彼らが代表メンバーに名を連ねたことは、あくまでも『お飾り』に過ぎないという指摘も無理からぬところがある。

この代表メンバーの「スター枠」に関して、中国国内ではさまざまな論議がなされている。

インターネット掲示板での議論も面白い。ある人は「劉翔が五輪で金メダルを取ることは中国人民の願い。この大切な時期に大会を優先させるのは仕方ない。」「“スター”委員がいることで私たちの会議への注目度も高まる。それだけでも意味があるのでは?」と理解を示す一方、「“栄誉”だけ得て、責任を果たさないのはおかしい」「学生が授業に出席しなければ叱られる。労働者が働かなければ給料が下がる。“スター”委員が会議に出席しなかったら、どう処理するの?」といった批判的な意見も数多くある。

これに対し、政治協商会議の張梅頴副主席は「政治協商会議の委員は各業界から選ばれるもの。劉翔と鄭潔はスポーツ界で傑出した人物であり、誰もが一致して代表と認める存在だ。彼ら自身がメンバーに連なること自体が大切なのであり、彼らが“当選”することそのものが政治協商会議の価値なのだ」と語る。つまり要は「劉翔、鄭潔が名を連ねること自体に価値がある」ということなのだろう。

“スター”議員というのは、“どこかの国”でもある話。とりあえず議場にいるだけで「価値がある」という考えも分からないではないが、出席さえもできない“代表”というのでは、疑問が生まれてくるのは当然だ。別に劉翔や鄭潔らが、進んで代表委員になったわけではないだろうから、当人には責任はないのかもしれないが、中国の政治制度ならではの、「独特な人選」だと思う。

<注:この文章は筆者の承諾を得て個人ブログから転載したものです>

■筆者プロフィール:朝倉浩之

奈良県出身。同志社大学卒業後、民放テレビ局に入社。スポーツをメインにキャスター、ディレクターとしてスポーツ・ニュース・ドキュメンタリー等の制作・取材に関わる。現在は中国にわたり、中国スポーツの取材、執筆を行いつつ、北京の「今」をレポートする中国国際放送などの各種ラジオ番組などにも出演している。

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