シンガポール・マレーシア・タイ高速鉄道で日中が競合―中国紙

人民網日本語版    2017年3月15日(水) 22時0分

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シンガポール-マレーシア高速鉄道、タイ-マレーシア高速鉄道、フィリピンの通勤鉄道。2017年には、中国と日本の高速鉄道をめぐる「戦いの場」が東南アジアへと延伸を続ける見込みだ。資料写真。

シンガポール-マレーシア高速鉄道、タイ-マレーシア高速鉄道、フィリピンの通勤鉄道。2017年には、中国と日本の高速鉄道をめぐる「戦いの場」が東南アジアへと延伸を続ける見込みだ。解放日報が伝えた。

レイルウェイプロのサイトがこのほど伝えたところによると、フィリピン政府は日本政府と中国政府がいずれもフィリピン国内の通勤鉄道建設プロジェクトに資金面での支援を提供する意向を示していることを明らかにした。日本紙は、「タイとマレーシアの政府が、両国の首都を結ぶ…高速鉄道の整備について協議を始める。…日中が再び競合する展開も予想される」と報じ、シンガポール紙「聯合早報」は、「今年はシンガポールとマレーシアの首都を結ぶシンガポール-マレーシア高速鉄道プロジェクトの入札が行われ、日中が『狭い道ですれ違うような抜き差しならない状態』に至る可能性がある」と伝えた。

▽多くの「戦いの場」で正面からぶつかる日中

フィリピンの様子を眺めると、ドゥテルテ大統領は選挙戦の初期から「鉄道への野心」を明らかにし、4路線の建設・修築を行う計画であり、中国に支援を請いたいとしていた。同国では昨年、南北鉄道建設プロジェクトが認可され、そのうちの1つはマニラ首都圏とビコル地方を結ぶ、全長54キロメートルの通勤路線だ。フィリピンがプロジェクトを認可する前から、待ちきれない日本は改修費用として24億ドル(1ドルは約114.7円)の支援を行うと宣言した。フィリピンのペルニヤ国家経済開発長官がこのたび明らかにしたところによると、中国政府も資金提供の意向を示したという。

タイの様子をみると、タイ-マレーシア鉄道の構想は、全長1500キロメートルの広軌の新路線を建設し、高速直通列車を運行するというものだ。同国のアーコム運輸相は、「できるだけ早くマレーシアと協議して、どんなやり方で他国にこの鉄道建設修築プロジェクトに参加してもらうかを確定させたい。現在、両国の目の前に横たわる難題は、果たして『中国と日本との二者択一』なのか、それとも日中両国の力を同時に借りるのかということだ。マレーシアはどちらかというと中国を評価しているようだ」と話す。

シンガポール-マレーシア高速鉄道はどうか。両国政府は昨年12月に同プロジェクトに調印し、今年は入札を行う計画だ。すでに多くの国の企業が建設に参加したいとの意向を示しているが、外界では、最終的な戦いは日中の間で繰り広げられることになるとの見方が一般的だ。シンガポール紙「ザ・ストレーツ・タイムズ」の報道によれば、シンガポールは車両や信号システムで経験豊富な日本に傾いており、膨大な費用の大部分を負担するマレーシアは中国により傾いているという。

アジア横断鉄道という大きな流れの中で、シンガポール-マレーシア高速鉄道とタイ-マレーシア高速鉄道の建設がもつ意義は重大だ。1995年に、当時のマレーシアのマハティール首相が第5回ASEAN首脳会合で、アジア横断鉄道の構想を初めて提起し、メコン川流域の範囲を超えた、マレー半島の南端にあるシンガポールから、マレーシア、インドシナ半島の5カ国を経て、中国の昆明に至る鉄道の建設構想を打ち出した。

アジア横断鉄道の起点として、シンガポール-マレーシア高速鉄道とタイ-マレーシア高速鉄道をめぐる戦いの中で、中国は明らかに地理的優位性をもっている。中国の高速鉄道を採用するということは、上記の鉄道が中国大陸部の高速鉄道網にスムースに連結できるということで、相互接続の利便性を極めて大きく高めることになる。

福建省にある華僑大学国際政治学部の黄日涵学部長はさらに踏み込んで、「東南アジア諸国は中国と国境を接し、中国とごく自然に密接な協力関係にある。中国の高速鉄道を東南アジアの鉄道と連結させれば、地域を結んで鉄道網を発展させ、『一帯一路』(the belt and road)の呼びかけで言われたインフラの相互連結を達成できるだけでなく、中国とインドシナ半島諸国との貨物貿易協力をより緊密なものにすることができる。これは互恵・ウィンウィンのよいことだ」と述べた。

▽知名度を上げるためにコストをかけるべきではない

過去数年間を振り返ると、中国高速鉄道の海外進出が始まって以来、日本はずっと影が形により添うように強力なライバルとして存在していた。シンガポール-マレーシア高速鉄道、タイ-マレーシア高速鉄道、フィリピン鉄道は、両国の高速鉄道をめぐる海外での競争の新たな戦いの場に過ぎない。

両国の高速鉄道の「対戦記録」をみると、両国の実力は拮抗している。15年10月には、中国が「後から来て上に立ち」、総額50億ドルのインドネシアのジャカルタ-バンドン間の高速鉄道プロジェクトを落札した。同年12月には、日本とインドが全長500キロメートル、総額120億ドルのインド初の高速鉄道建設合意に調印した。16年には、日本がタイのバンコク-チェンマイ間の全長700キロメートル、総額120億ドルの高速鉄道プロジェクトに調印。中国は全長250キロメートルのバンコク-コラート間を最初の区間とする中国-タイ高速鉄道で勝利を収めた。

黄学部長は日中の競争について、「日中の高速鉄道にはそれぞれ長所がある。日本は新幹線の運営で長い歴史があり、技術は成熟し、人に与える一般的な印象は安全ということだ。中国は高速鉄道の保有量で世界一であると同時に、標高の高い寒い地域と熱帯地域での建設・修築・運行の能力を備え、技術体系が整っている。さらに建造費が安く、独自の優位性を備えている」と指摘する。

「後世畏るべし」の中国に向き合って、日本がそれほど泰然自若としてはいないことは明らかだ。日本メディアはかつて、日本が東南アジアの高速鉄道の競争に関わろうとするのは、とにかく中国と競争したい、あるいは状況をかき乱したいからではないかと疑問の声を挙げたことがある。

これについて黄学部長は賛同しつつ、「現在の日本の役割は東南アジアをひっかき回す者、または中国を引っかき回す者だ。だが中国の高速鉄道建設が引き続き市場行為の側面をより強めることを願う。現在の最も重要な勝負のポイントは、どうやって日本を負かすかを前提として、中国企業の商業的利益を達成させることだ」との見方を示す。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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