これでいいのか!子どもを“だます”中国の教科書の実態―中国メディア

Record China    2017年3月17日(金) 8時20分

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子どもへの教育熱が高いと言われる中国だが、その教育法や教育環境は以前から議論の的になっている。重慶晨報などによると、ある小学校の校長がこのほど「語文」の教科書に関する誤りを指摘し、物議を醸している。

子どもへの教育熱が高いと言われる中国だが、その教育法や教育環境は以前から議論の的になっている。重慶晨報などによると、ある小学校の校長がこのほど「語文(国語)」の教科書に関する誤りを指摘し、物議を醸している。

杭州市外語実験小学校の校長・張敏(ジャン・ミン)氏は、人民教育出版社の小学2年生(下)の国語の教科書の第30課「エジソンが母を救う」という文章を読んで驚いたという。内容は、発明王のトーマス・エジソンが7歳の頃、母親が突然腹痛で倒れ、医師に診せたところ盲腸(急性虫垂炎)のためすぐに手術が必要と言われる。医師はその場で手術をしようとするが、部屋が暗くてできない。そこでエジソンが機転を利かせて鏡を持ってきて光を反射させることで明かりを確保し、無事手術が成功したというものだ。

しかし、この文章は2009年にすでに3人の専門家から作り話であるとの指摘があったものだった。1847年生まれのエジソンが7歳になるのは1854年のことで、世界で初めて盲腸の手術が行われたのは1886年とされていることから、明らかな矛盾が生じているとのこと。当時、指摘を受けた出版元の人民教育出版社はウェブサイト上の電子版からこの文章を削除した。ところが、8年が過ぎた現在、この問題の文章が再び教科書の中に登場しており、電子版でも復活しているというのだ。

同社の教科書をめぐっては同様の例がほかにもある。国語教師の郭初陽(グゥオ・チューヤン)氏が指摘した、5年生(上)の第17課に登場する「地震の中の父と子」もその一つだ。2002年と2003年に印刷された教科書では、「1989年に米国ロサンゼルスで大地震が発生し、30万人が被災した。混乱の中、両親が7歳の息子の学校へと向かうと、そこはすでに廃墟と化していた…」という一文があるが、ロサンゼルスで実際に大地震が起きたのは1994年のこと。指摘があったからか、2004年に印刷された版では「1994年に〜」と訂正されていたものの、実際の地震は午前4時30分ごろに起きていたため、「息子」は学校にいるはずがないという矛盾は残る。2005年に印刷された版では、書き出し部分が「ある年に〜」に変わったが、内容の矛盾は訂正されていないそうだ。

「歴史ではなく国語の教科書でフィクションだから」との言い訳が聞こえてきそうだが、子どもに誤解を与えるうえ、中途半端に史実に近づけようとしている点もさらに混乱を招きかねない。

郭氏は、「これを読めば、なぜ私たちの子どもに正義感や思考力、愛が欠けているかわかる。子どもたちは小さいころからこうした『うそ』と『だまし』の中で育っているのだから」とし、「いったいいつになれば、こうした劣悪な文章にお引き取り願えるのか」と皮肉を込めて指摘している。(編集/北田

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