<点描・北京五輪>朝倉浩之の眼・「車椅子に乗った天使」が人気沸騰…

Record China    2008年4月10日(木) 22時12分

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行く先々で、チベット問題に関する“抗議”を受け、前途多難なスタートを切った北京五輪の聖火リレー。聖火リレーに対する“妨害行為”の受け止め方は日本と中国でかなり異なる。写真は妨害を受けた車椅子の女性走者。

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『車椅子に乗った天使』が人気沸騰…

行く先々で、チベット問題に関する“抗議”を受け、前途多難なスタートを切った北京五輪の聖火リレー。つい先日まで日本に帰国していた筆者は極めて強く実感するのだが、この聖火リレーに対する“妨害行為”の受け止め方は日本と中国でかなり異なる。

そして、ここ数日、中国の新聞紙上を大いに賑わしているのが「車椅子に乗った天使」こと金晶さん(上海出身・27歳)だ。

金晶さんは車椅子フェンシングの選手で、聖火ランナーの一人。現地時間4月7日正午過ぎ、パリのエッフェル塔近くを金晶さんは聖火を持ち、車椅子を走らせて、駆け抜けていた。その際、チベットの抗議行動によって、聖火を奪われそうになったが“勇敢にも”守り抜き、見事、大役を果たした…というもの。27歳とはいえ、そのアイドル並みのルックスと車椅子で一生懸命走るひたむきさが中国人の心を捉え、一躍、『ヒロイン』となったというわけだ。その当時を描写した記事を引用する。

(引用)

この日、少数のチベット独立分子が聖火リレーを邪魔しようと、恥知らずな彼らは、人情のかけらもない手を車椅子の上の金晶に差し出し、その手から聖火を奪い取ろうとたくらんだ。金晶は突然のことにもかかわらず、少しも動ぜず、その両手にしっかりとトーチを握り締めていた。顔にはまだ誇り高き表情が溢れていた。身体障害者である彼女だが、オリンピック精神を身をもって示し、我々の心を打った。

(引用終わり)

この一連の“事件”が昨日の新聞各紙で報道され、テレビもこぞって取り上げた。

当時の様子を伝える記事と彼女の写真はこちら

http://torchrelay.beijing2008.cn/cn/torchbearers/headlines/n214299075.shtml

中国国内では、一連の『抗議行動』に対する批判の声が強いのに加え、しかも『車椅子』の『か弱き女性』に“暴力行為”が振るわれた…ということで、今、中国国内では彼女に対する同情と賞賛の声が高まっている。『大役』を終えて、帰国の途についた金晶さんを待ち受けていたのは、数多くの取材攻め。本人もまさか国内で、ここまでのフィーバーになっていたとは想像もつかなかったのだろう。

また中国国内では、最大規模の記者団を聖火リレーに送り込み、ただでさえ報道合戦が過熱気味だった。加えて、今回の事件により、中国当局にとっても「独立分子」に対する格好の批判材料ができたということで、それに油を注ぐことになったというわけだ。

金晶さんは「奪われそうになっている途中、多くの人たちが私を励ましてくれる声が聞こえた。聖火を守るのが私の使命。多くの人たちの声援を受けて、大役を終えられて、本当にうれしい」と語った。

愛くるしい笑顔をなげかけながら、当時の“奮闘ぶり”を語る金晶さんのフィーバーは当分続くのだろう。

当時の様子を伝える記事はこちら

http://torchrelay.beijing2008.cn/cn/journey/paris/news/n214297194.shtml

<注:この文章は筆者の承諾を得て個人ブログから転載したものです>

■筆者プロフィール:朝倉浩之

奈良県出身。同志社大学卒業後、民放テレビ局に入社。スポーツをメインにキャスター、ディレクターとしてスポーツ・ニュース・ドキュメンタリー等の制作・取材に関わる。現在は中国にわたり、中国スポーツの取材、執筆を行いつつ、北京の「今」をレポートする中国国際放送などの各種ラジオ番組などにも出演している。

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