<点描・北京五輪>朝倉浩之の眼・フェンシング世界選手権開幕、日本エース太田は五輪金に手応え

Record China    2008年4月23日(水) 5時37分

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フェンシングの五輪テスト大会を兼ねた世界選手権が18日、北京の国際会議センターフェンシング館で開幕。初日の男子団体戦、日本は初戦で香港を下したものの、2回戦はロシアに敗れた。

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フェンシング世界選手権開幕、日本エース太田は五輪金に手応え

フェンシングの五輪テスト大会を兼ねた世界選手権が18日、北京の国際会議センターフェンシング館で開幕。初日は男子の団体戦が行われ、日本は初戦で香港を44−37で下したものの、2回戦はロシアに39−45で敗れた。

同競技場は、近代五種のフェンシング会場でもあり、去年秋に一度訪れたが、総当りで数多くの対戦が組まれる近代五種のフェンシングとは、会場の設営も全く異なる。今回は、かなり間をおいての開催だが、北京五輪本番では、非常に短時間での会場の組み換えが必要になるから大変だ。

会場設備の評判については上々のようだ。北京五輪出場を決めている太田雄貴(同志社大学)は『設備は間違いなく世界ナンバーワン』と絶賛した。選手だけでなく、観客にとっても、フェンシングの臨場感をたっぷり味わえる競技場だ。スタンドが非常に低く設置されており、ほぼ水平面で試合を観戦できる。フェンシングに最良の設備が整った競技場といえよう。

2戦目のロシア戦、日本は序盤リードを許したものの、4人目の千田健太(中央大学)が追い上げ、13−14の1点差でエースの太田へ。「どうも乗り切れなかった」という太田だったが、力を見せ、一時逆転した。だが、その後はまたロシアペースとなり、点差がじわじわと広がった。ラストに登場した太田は猛追を見せたものの、結局、日本は39−45で敗れた。

日本のエース太田「金メダルを期待して欲しい」

後半の猛追にも関わらず、ロシアに惜しくも敗れた団体戦。汗びっしょりになって、引き上げてきた太田雄貴(同志社大学)は「だんだん悔しさがこみ上げてきた」と無念の表情を隠さなかった。

格上のロシアを相手にトップで出た太田。当然、チームに勢いをつけて、次の千田、福田につなげる責任があった。だが、「気持ち、体力面で最高の状態になっていなかった。二人に申し訳ない」と悔やむ。『勝てない試合ではなかった』という言葉が二度、三度と太田の口をついて出てくる。気持ちが十分に乗って、気合が入ってきたのは、5点差を追って、最後に登場したときだった。だが、猛追は及ばず。

敗戦と同時に世界との差が十分に分かる試合にもなった。体力面での課題も見つかった。日本では敵なしだった太田にとって、世界で、しかも五輪の会場を舞台に試合ができた価値はやはり大きい。『久々に悔しいという気持ちになれた。これが北京五輪に生きれば…』と団体戦の成果を語る。

「北京五輪での目標は?」と水を向けた。「メダルを期待してもらっていい。そして、もちろん真ん中(金メダル)を取りたい」ときっぱり。

敗戦をバネに目覚めた日本のエースに、フェンシング日本初のメダルを期待したい。

透明のマスクに四苦八苦

マスクが『金網』ではなく透明のもの…大会で使用するマスクの種類を選手が知ったのは昨日のことだった。ただ「金網」か透明かというのは、フェンシングで最も大切な視界に影響する。見た目が魚眼レンズのように、若干変化して見える透明のマスクは、各選手とも、あまり使用経験がなく、各選手とも「慣れるのに苦労した」と口を揃えた。

■■■2008年04月19日 ■■■

北京への思い語る…フェンシング五輪代表を目指す原田めぐみ

北京で開かれているフェンシング世界選手権(兼五輪テスト大会)は19日、女子団体戦が行われ、女子日本代表チームが出場。一回戦で世界ランク2位のドイツと対戦し、38−45で敗れた。

日本は、トップに登場した成田絢子(秋田クラブ)が3ポイントを先行。続く原田めぐみもリードを守ったが、その後は逆転され、じわじわと点差が広がった。

日本女子は団体の五輪出場はならなかったものの、個人ではすでにフルーレで菅原千恵子(宮城クラブ)が出場権を獲得している。残る男子サーブル、女子エペ、女子サーブルは、4月22日、23日にタイ・バンコクで開催されるアジア・オセアニア地区最終予選に出場し、アジア・オセアニア地区に残された最後の1枠を目指す。

チームのメンバーの一人、原田めぐみ(山形県体育協会)も、その最後の一枚を目指す一人。その原田は団体戦で2番目、6番目、そして10番目に登場。最後は7点差でバトンタッチされ、一時は追い上げたが、及ばなかった。

原田に北京五輪会場での初試合の感想、そして来週の最終予選に向けた意気込みを聞いた。

――北京五輪の競技場で初試合をした感想は?

「とにかく大きい。そして広い。これまで試合をしてきたどの会場よりも大きい感じ」

――団体戦では1回戦敗退ということになったが…

「団体戦は一人一人の力の総合力。試合中、気持ちの面で弱気になってしまったときがあった。世界で戦っていくときに、常に気持ちの部分で相手に勝っていくことが大切。集中力をしっかり持って戦っていけば、勝てた試合だが、そこ(気持ちの弱さ)を突かれたと思う。」

――何か課題は見つかったか

「課題や不足というのは特にない。気持ちも充実して、次に向けて、モチベーションは高まってきた。」

――本番の会場で試合が出来たことは非常に大きいと思うが…

「またここに帰ってきて、試合をしたいと強く思った。そのためにはタイでしっかり自分のフェンシングをして、結果を残さなければだめ。とにかく五輪出場権を獲得することが今の最大の目標だから、それに向けて頑張りたい。」

フェンシング世界選手権の団体戦は男子が2回戦、女子が1回戦敗退という結果となった。明日20日は個人戦が行われる。

<注:この文章は筆者の承諾を得て個人ブログから転載したものです>

■筆者プロフィール:朝倉浩之

奈良県出身。同志社大学卒業後、民放テレビ局に入社。スポーツをメインにキャスター、ディレクターとしてスポーツ・ニュース・ドキュメンタリー等の制作・取材に関わる。現在は中国にわたり、中国スポーツの取材、執筆を行いつつ、北京の「今」をレポートする中国国際放送などの各種ラジオ番組などにも出演している。

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