Record China 2017年7月1日(土) 14時0分
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日中関係に改善の兆しとも報じられているが、恒久的な友好関係を築くためには民間交流が欠かせない。現在、中国で日本語教師として奮闘する日本人女性の中村紀子さんは、現代的な手法で日中交流に貢献している。
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中村さんは教室での授業に加え、SNSを駆使したオンラインでの日本語教育を行っている。中村さんがDJを務めるネットラジオ「中村Radio」のリスナー総数は5万人を超え、再生総回数は約400万回となるなど、日本語を学ぶ中国の若者に人気となっている。また、中国版ツイッター・新浪微博、中国のチャットアプリ・微信、QQといったSNSを通して中国人に日本語を教えており、これらのフォロワー数を合わせると2万を超える。現代社会においてSNSは重要なコミュニケーションツールであり、若者により身近なSNSを使うことでこれまでにない規模の日本語教育を行うことに成功した。
ではなぜ彼女は中国に赴いてまで日本語教育に奮闘しているのか。そのきっかけや中国での日本語教育について中村さんが取材に答えた。
記者:中学・高校の教員免許を持つ中村さん、中国で日本語教師になったきっかけは?
中村さん:小学生のころから教師になりたいと思っていました。高校時代に世界史の教師になりたくて、史学科に進みました。バブル崩壊の影響で、教員採用試験の倍率が驚異的に跳ね上がり、大学卒業後5年間挑戦しましたが望みかなわず。27歳の時に、アルバイト先の個別指導塾に教室長として就職しました。
90年代後半は、ゆとり教育全盛期で、以前ほど「頑張る、頑張らせる」感じではなく、また少子化による業界の先細りは感じていました。もっと全力でぶつかれる、勢いのある場所に身を置きたいと思っていた時、偶然、テレビのドキュメンタリー番組で、中国地方都市の学校で、日本語を学ぶ学生の真摯(しんし)な様子を見ました。高度経済成長中の中国の変化を体で感じたいと思い、中国で日本語教師として働くことを決意しました。
日本語教師養成講座の費用などを捻出するため、そこから6年ほどサラリーマン生活を続け、2003年3月、ようやく武漢の中等専門学校に赴任しました。教室長としての経験が、その後、大変役に立ちました。
記者:日中の若者の違いはどこにありますか?中国の若者に変化はありますか?
中村さん:日中の若者の最も大きな違いは家族観ですね。(中国では)両親と毎日連絡を取る学生や、悩みを親に相談する学生が結構多く、とても驚きました。将来の進路を決める時に、両親の意向を気にする学生は多いです。
日本語教師生活をスタートさせた2003年頃は、恋愛観、結婚観は保守的で、友人関係は、物やお金の貸し借りなどで、大らかな面が見られました。最近は、恋愛観、結婚観はかなり都会的になり、友人関係はプライバシーを尊重するようになってきたと思います。
また、スマートフォンの普及により、この5年で若者たちの個人主義化はますます顕著になってきたようです。以前は電車に乗って、隣の人と話をするのはごく普通のことでしたが、今は皆さん、携帯の画面を見つめているばかりです。大学の授業の休憩時間も、クラスメートと話す学生は減ってきましたね。教室がかなり静かになりました。
記者:ネットラジオやSNSで日本語を教えることになったきっかけは?
中村さん:「中村Radio」を始めたのは、教え子が自分のネット番組を作っていて、結構影響力があると感じたからです。日本に関する番組は多いのですが、だいたい中国語での放送でしたから、日本語で日本のことを知ってほしいと思いました。
「中村Radio」を始めたことで、多くのリスナーからメッセージをもらい、彼らの日本語学習における悩みや要望を知りました。特に時間の制約がある社会人の皆さんの旺盛な学習意欲に応えたく、SNSによる中村教室を立ち上げました。また、日本にいても、会話の練習相手がいない悩みを抱えている留学生、社会人が驚くほど多く、全体の3分の1ぐらいいらっしゃいます。
記者:最後に、中国で日本語を教えることで感じる今後の可能性は?
中村さん:ネットの発達によって、中国のどこに住んでいても、日本人と直接交流ができるようになりました。これによって、さらに多くの日中交流が進んでいくと思いますが、最初に誰と、どう交流すればいいか、わからない日本語学習者がたくさんいます。
また、日本語を学ぶために、日本人と交流したいという気持ちが強いあまり、結局仲良くなれず、日本人に対してマイナスの印象を持つ人も大勢います。私は本音で中国の皆さんに向き合い、いただいたメッセージには一つ一つお返事していますので、まずは私を練習台にして、日本人とのコミュニケーションに慣れ、お互いにとって気持ちのいい交流を広げていってほしいですね。
日本の若者の皆さんにも、ぜひ中国に来てもらいたいです。勢いのある中国のエネルギーを吸収して、利用して、自分の可能性をどんどん広げていってほしいですね。圧倒的な人数に、個人の力でぶつかっていく快感をぜひ味わってください!
日中交流のために日々奮闘する中村さん。国や組織的な活動に比べれば規模は小さいかもしれない。だが、こうした個人の地道な交流こそ、日中の庶民が互いの本当の姿を知るきっかけとなるだろう。(取材/内山)
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