「生まれた家庭環境によって、子どもの将来が左右されている現状が日本にあり、こうした現状を変えたい」と語るのはNPO(特定非営利活動)法人「Learning for All」代表理事の李炯植さん。日本の子どもの6人に1人が貧困状態にあると言われている。親世代の経済格差が、子どもの受けられる教育の格差につながり、それが子どもの学歴・就職の 格差につながる。そして、子どもが親になった時に、また貧困世帯となり、貧困が世代間で連鎖してしまう――。
Learning for Allは、様々な困難を抱える子どもに対して「質の高い学習機会」を提供し、課題に直接向き合った経験を通して、社会課題を解決する大学生を育成・輩出する団体である。教育の機会に恵まれない子どもたちに対して、大学生ボランティアを派遣し、放課後の学校や公民館などで学習支援教室を運営している。
Learning for All の設立は6年前。李さんが大学3年生の時である。自身も生活困窮世帯が多い地域に生まれ育ち、「格差」 や「貧困」を目のあたりにしてきた。家庭の経済的な要因で希望する進路に進むことができず、夢を諦めないといけない人もたくさんいた。在学していた東京大学では、世帯所得も文化的資産も持ち合わせた人が多く、地元とのギャップに戸惑い、日本にも「階層」があることを知った。生まれた地域や家庭環境で人生が大きく左右されることへの実感はさらに深まり、「子どもの貧困」という社会課題の解決に直接コミットすべきだとの思いに至ったという。
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