日本経済の致命的な欠陥は何か―中国コラム

人民網日本語版    2017年7月29日(土) 9時30分

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日本の人材派遣会社が世界33カ国・地域で行った世論調査によると、日本人の回答者の66.9%が「起業の意思はない」と答え、最低だった。日本の起業家は350万人前後しかおらず、総人口の3%に満たず、起業コストはいまだに英国の75倍にもなる。

日本の人材派遣会社が世界33カ国・地域で行った世論調査によると、日本人の回答者の66.9%が「起業の意思はない」と答え、33カ国・地域の中で最低だった。日本の起業家は350万人前後しかおらず、総人口の3%に満たず、起業コストはいまだに英国の75倍にもなる。企業に更新やバージョンアップの意欲がなければ、経済が谷底から脱出することへの希望をどこに託せばいいのだろうか。(文:陳鴻斌・日本問題専門家)

日本経済は20数年にわたって不振が続き、原因は実に複雑だが、起業の環境やムードの深刻な欠如も重要な要因の1つであることは明らかだ。1つの国に前の波を押しやる後からの波が起こらず、絶えず起業に挑戦する流れが形成されなければ、製品が市場シェアを獲得できず競争力もない企業が淘汰されず、時代の流れを牽引する新興の企業が流れに応じて生まれることが難しくなり、経済の活力や持続可能な発展など語るべくもない。日本で長年行われてきた「終身雇用」と「年功序列」は、青年が起業の大きな流れに身を投じて活躍するよう促進する上でマイナスになることは明らかだ。こうしたわけで、「アベノミクス」がこれからどれだけの矢を放ったとしても、何の甲斐もないといえる。

特に現在のような世界規模で新興産業が勢いよく誕生し、発展する時代の中で、日本のように相も変わらぬやり方を通せばうまくいかなくなるのは明らかだ。起業家精神に関する調査(GEM調査、グローバル・アントレプレナーシップ・モニター)での統計によると、現在、世界の起業家は4億人に達した。中国政府が「大衆による起業・革新(イノベーション)」を呼びかけると、中国の起業家は1億2千万人に達して、人口に占める割合は9%になった。この割合がほかの新興国、たとえばインドでは7%、インドネシアでは11%、ブラジルでは13%あまりになる。米国は7%。日本の起業家はわずか350万人ほどで、割合は3%に達しない。同調査によれば、日本人で起業を考えない人は66.9%に上り、起業意欲は33カ国・地域中で最低だった。

起業コスト(一人あたり平均収入に占める起業コストの割合)は米国が1.1%、英国が0.1%、ドイツが1.9%で、日本は7.5%に達し、英国の75倍だ。こうした数字から、日本人は起業に際して煩雑な申告や審査の手続きに直面するとともに、そのために巨額のコストも生じることがわかる。

起業に関して、日本には引用して自慢できるデータは1つしかない。それは日本人がもともと注意深く慎重であり、起業すれば成功率が相対的に高いというデータだ。統計によれば、起業してから5年後の企業の生存率は80%前後に達し、欧米のほぼ2倍だという。

今や日本で起業に関心をもつ年齢層は65才以上の高齢者で、毎月一定の年金をもらっている人々だ。生活の心配がないので、逆に一度挑戦してみたくなり、たとえ失敗しても暮らしには困らない。だがこうした退路を残した起業は、高いリスクがない代わりに、高いリターンを得ることもできない。

現在、日本全国の大学で誕生したベンチャー企業は2千社前後に上り、その多くがハイテク分野の企業だ。だがすでに述べたように、日本のベンチャー投資規模はきわめて限定的だ。投資力のある企業はベンチャー企業のために一肌脱ごうという意欲も眼識もない。そこでベンチャー企業にはなかなかの創意工夫とかなりの技術的優位性がありながら、資金や投資が不足しているため、どんなに優れたオリジナリティがあっても、どんなに新しい技術があっても、製品に転化することができずにいる。

スマートフォンがなかった時代には、フィンランドノキアが世界の通信産業のスターだった。だが時代とともに進むことができず、成功を持続させることができなかった。その後、ノキアは2014年に決死の覚悟で携帯電話の分野から撤退し、制度面で社員の起業を奨励した結果、1千社あまりの新企業がうまれた。ノキアのような捲土重来を果たした企業の未来は計り知れない。シャープや東芝といった1970年代から80年代にかけて世界で高い評価を得た日本の家電メーカーは、再編を進めはしたが、ノキアほど思い切った行動はなく、人員をリストラするという数十年前から続いてきたやり方しか思いつけなかった。多くの「ゾンビ企業」に至っては、政府の各種補助金や救済措置に頼ってなんとか生き延びている状態で、自ら脱出の道を探そうとするところはない。こうした状態が長く続けば、日本経済は再興が難しいだけでなく、財政的観点からいっても政府が負担に耐えられなくなる。

早い時期に、日本紙「日本経済新聞」が3日連続で一面トップに記者数十人が共同執筆した「スタートアップ大競争」と題する長文の記事を掲載し、日本の企業界に起業を重視するよう呼びかけ、現在のようなかつてない大変革の時代にあって、企業は「小さなコストで大きな価値を生む」時代に足を踏み入れていると強調した。米国シリコンバレーにあるベンチャー企業500社は、60カ国の企業約1800社から投資を得ており、こうした投資を行う人々の先見の明が十分にうかがえる。日本政府のデータによれば、日本の大企業の数は企業総数の1%にも満たないが、製造業の付加価値の半分は大企業から生まれており、日本の小企業の果たす役割がどれほど限定的なものかがわかる。今のような刻々と変化する時代の中、空母型の巨大企業に比べて、大量の小規模企業という小船は方向転換がすばやくでき、よりよく時代の変化に適応できる。すでに19世紀に若きロックフェラー家の当主はわずか20年で、小さなガソリンスタンドを大手石油会社へと躍進させた。20世紀末には、インターネットを通じてスタートした企業が瞬く間にビジネス界のトレンドを牽引する時代の寵児になり、ここから経済構造の大幅な向上が促進された。日本はいまなおかつて経済の高度成長を推進した大企業をよりどころにして経済発展を進めようとするが、このような経済構造で時代の発展に追いつけるだろうか。

企業に更新やバージョンアップの意識がなければ、日本経済が谷間から抜け出すことへの希望をどこに託したらいいだろうか。(提供/人民網日本語版・編集KS)

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