曽賀 善雄 2017年8月27日(日) 15時0分
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日本でも、中国でも、白黒の間にいわゆるグレーゾーンが存在します。中国におけるグレーゾーンをどうさばくかが、実はけっこう難しく、且つ悩ましい要素を抱えています。資料写真。
日本でも、中国でも、白黒の間にいわゆるグレーゾーンが存在します。中国におけるグレーゾーンをどうさばくかが、実はけっこう難しく、且つ悩ましい要素を抱えています。日本基準でやると現地の運営がギクシャクしたり、中国基準でやると日本本社が理解を示さなかったり…日中の間で挟まれ立往生しかねません。
あるとき、とある中国人の友人から「日本人は楽でいいねえ」と言われたことがありました。彼が言うには、日本などの先進国では規則やルールが細かく整備されていて、やっていいこと、悪いことなどがはっきりしている。あれこれ考える必要がない。だから「楽でいいねえ」ということのようです。
そう言われてみれば、日本では一般的には「白黒」がはっきりとしていて、その間の真ん中に少しだけあるグレー部分を判断すれば概ね事足ります。まあ、言ってみれば刑務所の高い塀の上を歩いているようなもので、内側或いは外側のどちらに倒すか、順法精神が旺盛な日本人なら、誰にでもわかります。
一方中国では少しの「白」と「黒」の間に大きなグレーゾーンがあります。そのグレーゾーンの中で、物事を前に向けて進めて行くためにはどうするのが良いのか、中国人は常にそれを考えています。法治国家とは言っていますが、現実には幅広いグレーゾーンをどうさばくかが大きな問題となります。
そこで中国人は、常に関係作りを行い、活用し、歴史の中で自然と身体に染みついた「兵法」や交渉術を駆使して、自身が有利になるように、思いを巡らせているということです。そうしなければ闘いに勝てません。だから中国人は大変なんですよ。彼はそういうことを言いたかったのです。
実は中国の現地で事業を展開している日系企業も中国企業と同じ土俵で戦っているわけです。その中国土俵で「日本の白黒尺度」で運営しようとした場合は、その事業はたいして伸びません。しかも時間がかかります。
ですから日系企業の日本人社員も、中国土俵での戦いに勝とうとするのならば、「グレーゾーンのさばき」を習わないと、現地ローカル企業と勝負になりません。
ところが、そうしようとすると、今度は日本本社がそれを“よし”とはしないという困った問題が発生します。日本本社は何よりコンプライアンスが大事ですし、旺盛な順法精神を背景として「錦の御旗」のごとく、中国現地で采配を振るう日本人社員の前に立ちはだかります。
そう、「あちらを立てればこちらが立たず」という悩ましい問題です。この悩ましい問題をどうやって切り開くか、それをしないと業容拡大は望めません。勿論、現地で総経理(社長)を張っている日本人社員は、グレーゾーンの中で「超えてはならない一線」は理解しているはずです。ですから、日本本社も現地のことは現地に委ね、口は出さないのが唯一の解決策ではないかと思います。そう日本本社に対して総経理が腹をくくることができるか、が決め手になるように思います。日本人も中国人も総経理(社長)を張るということは、実はそんなに楽ではないのかもしれません。
■筆者プロフィール:曽賀善雄
1949年和歌山県生まれ。1971年大手セキュリティサービス会社に入社。1998年6月、中国・上海のグループ現地法人の総経理(社長)として勤務。2000年4月から13年近くにわたり中国・大連の現法で総経理(社長)として勤務。2013年1月に帰国、本社勤務を経て2014年7月リタイア。
■筆者プロフィール:曽賀 善雄
1949年和歌山県生まれ。1971年大手セキュリティサービス会社に入社。1998年6月、中国・上海のグループ現地法人の総経理(社長)として勤務。2000年4月から13年近くにわたり中国・大連の現法で総経理(社長)として勤務。2013年1月に帰国、本社勤務を経て2014年7月リタイア。ブログはこちら
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