むらさわりこ 2017年9月5日(火) 6時30分
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中国人夫と結婚して感じたカルチャーショックがある。それは「気まずさ」に対する考え方である。資料写真。
中国人夫と結婚して感じたカルチャーショックがある。それは「気まずさ」に対する考え方である。今回は私が感じた日本人と中国人の「気まずさ」に対する違いについて書いていきたい。
気まずい雰囲気は嫌なものである。日本人は大抵、意見が分かれて衝突し、気まずい雰囲気になるくらいなら物を言わないのもアリだな、と思う。「言わぬが花」という言葉もあるし「あえて意見を言わない」のは「オトナ」だとプラスに取られることもある。
しかし、中国人は違う。もちろん気まずいのは嫌だが、気まずくても勇気を持って言いたいことは言わなければいけないと感じている。私からすると彼らから使命感のようなものさえ感じることもある。
夫と付き合ったばかりのころ、家の中でDVDを見て過ごすか外で買い物をして過ごすかで夫と口論になりかけたことがあった。別に大したことはない。夫はその時、買い物に行きたくなかった。私はどこかに出掛けたい気分だった。そして2人とも疲れて機嫌が悪かったのだ。
感情がそのまま顔に速攻で出る夫は「ムキーっ!」と怒っていた。中国人は日本人に比べて感情を押さえたりしないのだ。私はまだ夫と出会ったばかりで中国の文化も良く分からず、怒る夫を見てオロオロしていた。そこで私は夫に合わせることにした。「いいよ、今日は家にいよう」と。
些細なことだったが、お互い機嫌が悪かったため険悪な雰囲気になってしまう。とにかく私はそれを避けたかったのだ。気まずいのは、とにかく嫌だったから夫に従おうとしたのだ。
しかし、その時夫は意外な言葉を口にした。「莉子はそれで納得したの?」と。私は、夫は自分の思い通りになりさぞ満足だろうと思っていた。そう思っていたので、夫に従いつつも不機嫌な顔をしていた。そんな私に夫は「言いたいことがあるなら言えばいいじゃん。嫌なら嫌って言って。口では俺に合わせるって言って顔では嫌そうな顔して、どっちなの?日本人難しいんだけど!」と言い放った。
私は日本人なので、とにかく事を荒立てないことが第一なのだ。自分の言いたいことを抑えて相手の意見に従って「でもそれはあなたのためなのよ」と相手に察して欲しいがために不機嫌な顔をする。しかし夫は違った。口で言っていることと態度がマッチしないのは何よりも不可解なことで不信感を与える行為なのだ。つまり夫に言わせれば、私が夫の意見に合わせるなら私は自分が納得してから、楽しそうな顔でけんかのことは忘れるべきだし、不機嫌な顔をするなら口でも「買い物行きたいんだけど」と言うべきなのだ。
それでは物事が解決しない、と思う方もいるだろう。でも何より夫にとっては、私が感情を隠して我慢している、という状況は嫌なのだ。当時の夫は、ぶつかっても良いので言いたいことは言い合うべきで、その方がずっと自然だと考えたのであろう。
中国人も気まずいのはもちろん嫌だが、親しい人が本音を隠しているのはもっと嫌なのだ。それがどんなに些細なことでも。さらに言えば、気まずいのは嫌だけど、人と解り合う為にはある程度の気まずい雰囲気は仕方ないのだ。それを知り、日本人は中国人よりも平和に共存するための意識が高いのだと思った。そのための自己主張の我慢、没個性はやむを得ないのだ。
事を荒立てたくない私と、ぶつかり合って納得してナンボの夫。中国人は言い争っているように見えて意外とただ話し合っているだけだったりする。そして話し合いが終われば、あっけらかんとしている。以前は不可解だったが、その理由が夫と一緒にいて分かった気がした。
■筆者プロフィール:むらさわりこ
1989年日本生まれ。22歳の時に2歳年上の福建省出身の中国人男性と結婚。英語を独学で習得後、英会話講師として働く傍ら中国のテレビなどを通し中国語も独学で習得。趣味は語学と読書。図書館があまりに好きで毎週通っている。結婚前はベトナム、ニュージーランド、モンゴル、カナダ、ラオス、フランスなど様々な国を一人で渡り歩く。自分のやりたい事や面白い事に国境や言葉の壁は関係ないと考えている。
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