元慰安婦の存在伝える中国のドキュメンタリー「二十二」が海外でも話題―中国メディア

人民網日本語版    2017年9月20日(水) 0時10分

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中国で生存する元「慰安婦」たちに迫った初の長編ドキュメンタリー映画「二十二(TWENTY TWO)」が北米やオーストラリア、ニュージーランドでも公開される。

中国で生存する元「慰安婦」たちに迫った初の長編ドキュメンタリー映画「二十二(TWENTY TWO)」が北米やオーストラリア、ニュージーランドでも公開される。同作品にナレーションはなく、戦時中に関連した映像や感情を高ぶらせる音楽もなく、元「慰安婦」の生活を淡々と紹介している。それでも、各国の人々が続々と映画館に足を運び同作品を鑑賞している。新華網が伝えた。

「ワシントン・ポスト」は、「郭柯監督が静かで慎重な表現方法を採用しているのは、生存する元慰安婦やそれらの人が過去に経験したことに対する尊重の表れ」と紹介している。また、「ロサンゼルス・タイムズ」は、「このドキュメンタリーでは、見る人を驚かせるようなシーンはなく、元慰安婦らの生活を淡々と紹介しており、ゆっくりとしていて悲しい雰囲気。これは軽々しい雰囲気の作品ではなく、軽々しいものであってはならない」と紹介している。

「二十二」は、2014年の時点で中国大陸部に生存していた元慰安婦22人が中心となっており、高齢になったそれらの女性や彼女らにずっと関心を示し続けているボランティアらの証言を通して、その生活状況に迫っている。

しわだらけの顔、孤独で寂しげなその後ろ姿、一言一言が聞く人の心を揺さぶる証言……。静かに、時には途切れ途切れに語る女性らの姿から、人間の忍耐強さ、芸術の力がにじみ出ている。

「静」というのも一種の力で、映像に何度も出てくる白いフレームは、このドキュメンタリーを製作する過程で、生存する元慰安婦がどんどんなく亡くなっていることを観衆に静かに伝えている

郭柯監督は、「一緒に長くいると、それらの女性が苦しみを心の奥深くにしまい込んでいることに気付く。彼女たちは積極的に生きており、とても強い」と話した。12年にドキュメンタリー『三十二』を製作してからわずか1年の間に10人の元慰安婦が亡くなった。当時の事をできるだけ早く記録しておくために、郭柯監督は「二十二」の製作に取り掛かった。「元慰安婦は、特殊なグループではない。彼女たちの映像は貴重な史料で、彼女たちの立場に立って、その苦しみだけでなく、リアルな生活を描写し、それを多くの人に見てもらい、永久保存しなければならない」と郭柯監督。

100分間のこのドキュメンタリーはとても静かであるものの、とても厳かな内容だ。元慰安婦らはすでに高齢で、家族に囲まれて晩年を過ごしている人もいれば、孤独な晩年を過ごしている人もいる。しかし、彼女たちの心の傷を時間が癒してくれているわけでは決してない。聞く人の感情を刺激するナレーションもなければ、衝撃的なシーンもなく、映像を通して、元慰安婦の苦しみ、悲しみを、ただ静かに、高ぶる気持ちを抑えて表現しようとする制作者の配慮を感じることができる。

オーストラリアの著名な映画評論家のリチャード氏は、「少なくとも、中国人女性20万人が、旧日本軍の性奴隷となった。『二十二』は、慎重に高ぶる気持ちを抑えながら、それらの女性の生活状況を伝えている。同作品では、彼女たちの日々の生活に迫り、彼女たちに過去に経験したことや、苦痛や幸福に対する理解、見方を語ってもらっている。監督は、リアルで、とても個人化された歴史を追跡・整理・保存すると同時に、彼女たちの生活が乱されることのないよう配慮している」と評価している。

「二十二」を北米で配給するChina Lion Distributionのロバート最高執行責任者(COO)は、「同作品が注目しているテーマはとても重要で、世界の人々が見るべき内容だ。若者を含めて世界のほとんどの人が慰安婦についてあまり知らず、それらの女性がどんなことを経験したのかも知らない。『二十二』は、すでに少なくってしまった生存する元慰安婦を記録し、彼女らが経験したことが忘れ去られないようにしている」と話した。

心に刻み込まれた憎しみを表現することもなく、戦争に対する訴えもない「二十二」は独特のスタイルで元慰安婦の存在を世界に知らせ、もしかすると直接聞くことができないかもしれない謝罪を待っていることを伝えている。(提供/人民網日本語版・編集KN)

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