むらさわりこ 2017年10月28日(土) 12時40分
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中国人の大人はよく「将来のために一生懸命勉強して素晴らしい人になりなさい」と子どもに言い聞かせている。しかし私からすると何だかこれは違和感がある。写真は勉強する中国の子ども。
私が中国文化に触れるようになってから気づいたことがある。中国人の大人はよく「将来のために一生懸命勉強して素晴らしい人になりなさい」と子どもに言い聞かせている。中国人夫もまだ小学1年生の甥っ子に電話で「一生懸命勉強しなさい」と言い聞かせていたし、中国のテレビやドラマでもそんな場面をたびたび見る。子どもは「嫌だ!」と言わずに「はい」と素直に従っている様子である。しかし、私からするとこれは何だか違和感を覚えるのだ。
一生懸命勉強することが悪いことだとは私は思わない。ただ、何というか、夫が中国のテレビでそんなシーンを見て若干引いている私に向かって「そうだ!そうだ!子どもは一生懸命勉強して良い大人にならなくちゃいけない!」と熱弁するのを聞くと、勉強すること以外でも素晴らしい人生というのはあるのではないか?と思ってしまうのである。
日本の親は一般的に「勉強しなさい」とは言うが、中国ほど勉強至上主義ではないと思う。ダンスやピアノ、スポーツなど、その子の才能のあるものを伸ばしてあげられればそれが一番、という価値観も広く共有されている。少し前に話題になった将棋もそうだ。将棋は学校のテストとは直接関係はないが、学校の勉強以外での自己実現に関しては日本の方が進んでいるのでは?と私は思う。
もちろん、日本と中国では社会の環境が大きく違う。中国は競争の激しい学歴社会で、親が貧しい場合、勉強して学歴を得ることが貧困から抜け出す大切な道なのだ。日本の「勉強ができる」は「それはそれで良いことだけど、幸せになるための必須条件ではない。他のことで才能があるならそれを頑張っても良い」と社会的に捉えられているけれど、中国での「勉強」には将来仕事があるかどうか、男性も女性も家族を養えるかどうか、親孝行が出来るかどうか(中国人にとってこれは日本人の想像以上に大切)がかかっているのだ。なので「自分よりも良い生活をしてほしい」と願う中国人の親が子どもに「勉強しなさい」と目の色を変えて言い続けるのはごく自然なことなのだ。
それから私が思うのは、中国は「貧困」が日本よりも近くにあると思う。発展途上にある中国。まだまだ貧しさはそこら辺に転がっている。地域差もあるが、ご飯を食べるのもいっぱいいっぱい、両親が街に出稼ぎに行ってしまい年に数回しか会えない、なんていう話を中国人の子どもは日本人の子どもよりも身近に感じている。だからこそ「将来は親よりも良い暮らしを手に入れて親孝行しなければ→勉強しなければ」という価値観が生まれる。
中国の子どもの学校の宿題は、とてもじゃないが終わらないくらい多いこともある。詰め込み勉強至上主義から中国が抜け出す日は来るのだろうか。
■筆者プロフィール:むらさわりこ
1989年日本生まれ。22歳の時に2歳年上の福建省出身の中国人男性と結婚。英語を独学で習得後、英会話講師として働く傍ら中国のテレビなどを通し中国語も独学で習得。趣味は語学と読書。図書館があまりに好きで毎週通っている。結婚前はベトナム、ニュージーランド、モンゴル、カナダ、ラオス、フランスなど様々な国を一人で渡り歩く。自分のやりたい事や面白い事に国境や言葉の壁は関係ないと考えている。
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