<コラム>人民日報と読売とニューヨークタイムズ

石川希理    2020年6月20日(土) 13時30分

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日本やアメリカの新聞は、「営利企業」である。異質のものである。写真は日本の新聞。

私は読売新聞をとっている。ウィキペディアによると約800万部の発行部数だ。一般紙の全国紙である。(以下データはウィキペディア)

学校で習われたでしょうが。あ、こんなことは学校で習わないかなあ?


さて、このタイトルにある「人民日報」は2012年で280万部ほどである。

ニューヨークタイムズは48万部。アメリカ第3位。因みに、1位のUSAトゥデイは162万部、2位のウォール・ストリート・ジャーナルは101万部。

いうまでもなく、「人民日報」は中国共産党の機関紙である。日本やアメリカの新聞とは異なる。例えば日本共産党の「赤旗」、公明党の「公明新聞」、自民党の…、たぶんあると思うが「自由新報」かな…、と同じものである。

この「人民日報」と違い、日本やアメリカの新聞は、「営利企業」である。異質のものである。

日本などの新聞の目的は「社会の木鐸」だ。つまり、人々を導くという意味である。そのために、公正・中立を基本としつつも、実は党派色がある。

そして営利企業だから、広告が出してもらえるかどうかと言った点で、批判が出来にくい場合も当然予想される。

毎月、数百万円の広告を出してくれる企業の製品が事故った。まあ完全に公になったら仕方ないが、小さくおさまりそうなら、どうだろう。広告を載せている新聞社は「記事」を載せるだろうか。

そしてその記事の内容も、載せ方も…忖度(笑)

それにしても、読売新聞の800万部というのには驚かされる。

私が30年ほど前の中年時代、1000万部、朝日新聞も…、といった時代もあった。

もちろん、新聞の部数は「公称」である。「押し紙」なんていう言葉もある。販売店が押しつけられる部数だが、この部数によって、宣伝広告の効果が異なるから、新聞のみならず発行される紙誌は、多めに発表する。

「でも、世界中にないよ。こんなに多い新聞。朝日や他のものもあるし」

「そのとおり、我が国は不思議な東洋の国だ。世界にこれだけ巨大な新聞はない」

「韓国の新聞は2018年、『朝鮮日報』が130万部で1位。2位は『中央日報』、3位は『東亜日報』である。人口は日本の半分ほどとしても、読売新聞・朝日新聞といった我が国の新聞の巨大さ、特異さが判るだろう」

「なぜだろう?」

私が考えるに、識字率は江戸末期に世界一だった。1868年、明治元年ころ、平均して50パーセント前後と言われる。これは例えば1910年の韓国併合時の、韓国の識字率が6パーセントと比較すると驚くべき値である。

江戸時代から、寺子屋があり、かわらばんがあり、「文字を読む」力は図抜けていたのだ。そして明治維新後、すぐ、1872年に学制ができて義務教育が開始される。識字率は跳ね上がっていく。

その背景の上に新聞もどんどん発行される。ラジオもない時代である。

そして明治時代の新聞は、「総ルビ」である。漢字総てに「ふりがな」があった。国民は新聞を読んで漢字もドンドン覚えていったと思われる。

◆余談

因みに、当時、印刷は「活字」である。[活版印刷]

ひらがな、カタカナ、漢字をあわせると何千にもなる。これを一文字ずつ、鉛の文字にして作る。

この活字を原稿を見ながら組み合わせる「植字工」がいた。

「へーっ?! たいへんだ!」

「そう、その大変な何千もある活字にふりがなを振る、というのは」

「ふりがな付きの鉛の棒を作る!」

「ご正解!」

とまあ気の遠くなるようなことをしていった。これひとえに国民が新聞を読め、期待したからだ。

この活字印刷は第二次世界大戦後、コンピュータが普及し出す頃まで続いた。

「本は高い値段だった?」

「その通り、本を踏んだりしたら叱られていた!」

「高いから?」

「まあそれもあるが、知識を伝えてくれる大切なものを踏むな! ということかな。それに…」

「それに、活字信仰が興った。何せ手間暇かかって高いから、一応、内容のあるものしか出版できない。本は正確だ、という信仰だな。大学の論文など『○○本の△△ページにこうある』と言うことを論拠にしていた。いまも続いているけれど、少し意味が違ってきたいるね」

◆閑話休題

まあ、現在、新聞にふりがなが、なぜないのかという歴史は別の機会に。あれば書かせてもらうよ。前記の余談ではないけれど、どんどん、いつも通り横道に逸れますから(笑)。

とにかく、そういう教育レベルの高さ普及があったから、読売や朝日という巨大な、世界にも例を見ないマスコミが出来あがったと思う。

日中韓と東アジアを一括りにするが、この新聞の普及・巨大さは我が国の一大特質だろう。

コロナで、これも世界に例を見ない自主的自粛が要請された。それが一応成功しているのは、日本の新聞の「社会の木鐸」という側面が遺憾なく発揮されたと考えている。

アメリカの新聞は、オピニオンリーダーではあるものの、国民への浸透は日本に遙かに及ばないのではないだろうか。

日本の新聞には頑張ってもらいたい。

■筆者プロフィール:石川希理

1947年神戸市生まれ。団塊世代の高齢者。板宿小学校・飛松中学校・星陵高校・神戸学院大学・仏教大学卒です。同窓生いるかな?小説・童話の創作と、善く死ぬために仏教の勉強と瞑想を10年ほどしています。明石市と西脇市の文芸祭りの選者(それぞれ随筆と児童文学)をさせていただいています。孫の保育園への迎えは次世代への奉仕です。時折友人達などとお酒を飲むのが楽しみです。自宅ではほんの時折禁酒(笑)。中学教員から県や市の教育行政職、大学の準教授・非常勤講師などをしてきました。児童文学のアンソロジー単行本数冊。小説の自家版文庫本など。「童話絵本の読み方とか、子どもへの与え方」「自分史の書き方」「人権問題」「瞑想・仏教」などの講演会をしてきました。

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