<点描・北京五輪>朝倉浩之の眼・着々と「五輪体制」へ、地下鉄には不満も…静けさ増す市内

Record China    2008年7月24日(木) 19時10分

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20日、北京では様々な規制がいっせいに始まり、町は一気に「五輪体制」に入った。写真は21日、地下鉄10号線。

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20日、北京では様々な規制がいっせいに始まり、町は一気に「五輪体制」に入った。

その目玉の一つは、深刻な交通渋滞を解消するため行われる「ナンバープレート規制」。車のナンバーが偶数か奇数かで運転できる車両を規制するというものだが、偶数ナンバーが運転可能となった20日、そして奇数ナンバーが運転できる21日、ともに、市内を走る車はおおむね規制を守っており、渋滞も確実に減っている。まずは順調なスタートを切ったといえよう。

地下鉄は10号線、五輪支線、空港線の3路線が19日、いっせいに開通。10号線は、北京南東部のビジネスエリアと北西部の学研地区をカギ型に走っており、市内の人の流れを大きく変えるものとなる。また空港線の開通で、これまで全く所要時間が読めなかった空港と市内の移動が非常に便利となった。五輪支線が五輪期間中、一般の乗客に開放されないのは残念ではあるが…。

開通初日の19日は週末ということもあり、各線とも「見学」に訪れる人が殺到した。開通初日でのべ13万8000人が真新しい車両を楽しんだ。

また道案内や通訳などを務める「街角ボランティア」も一斉に市内でサービスを始めているが、各地下鉄駅にもボランティアステーションが設けられ、大学生などのボランティアスタッフがブルーのポロシャツに身を包み、路線の案内などに務めていた。

10号線については、特に大きなトラブルはなかったものの、地下鉄内で携帯電話が使用できないことが判明。列車内での携帯使用は日本ではマナー違反だが、中国では、特に禁止はされておらず、特に先ごろ開通した5号線は乗車中も通話が可能であり、北京市民にとっては、非常に便利な路線であった。ただ10号線に関しては、この設備が間に合わなかった。車内では、「何で使えないの?」と戸惑う乗客の声が何度か聞こえてきた。

空港線についてもちょっとした不便があるようだ。北京首都国際空港から、東部地区の交通の要所「東直門」を結ぶ空港エクスプレスだが、その料金は25元。ただ切符の自動販売機は100元札や50元札は使えず、1元コインと小額の紙幣のみだ。そのため、小銭を持ち合わせていない人は切符を買えず、いちいち両替しなければならないという面倒が生じた。市民の間からは、改善を求める声も出ているようだが、こちらも当分は対応が難しい模様。とりあえずは、飛行機から降りて、あのひどい渋滞に出くわす必要がなくなっただけ満足せよ、とのことだろうか。

また、20日以降、北京市内では土木工事ができなくなり、これまで「町中が工事現場」だった状態がかなり改善された。大型トラックに対する規制も始まっており、町の雰囲気そのものが一気に五輪モードに突入したという感じ。町中には五輪競技場を指し示す真新しい標識も完備され、五輪模様の旗も街灯のてっぺんにはためく。

町はすでにオリンピックを始めている。

<注:この文章は筆者の承諾を得て個人ブログから転載したものです>

■筆者プロフィール:朝倉浩之

奈良県出身。同志社大学卒業後、民放テレビ局に入社。スポーツをメインにキャスター、ディレクターとしてスポーツ・ニュース・ドキュメンタリー等の制作・取材に関わる。現在は中国にわたり、中国スポーツの取材、執筆を行いつつ、北京の「今」をレポートする中国国際放送などの各種ラジオ番組などにも出演している。

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