<直言!日本と世界の未来>若い人たちの発想に期待する=懸賞小論文コンクール―立石信雄オムロン元会長

立石信雄    2017年12月3日(日) 5時0分

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「SAM日本チャプター第2回立石信雄懸賞小論文コンクール」の表彰式」が都内で開催され経営者、大学教授、研究者、学生ら100人以上が出席した。多くの留学生からのご応募があり、このコンクールがグローバルなものになりつつあることは非常に喜ばしい。写真は表彰式。

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先日「SAM日本チャプター第2回立石信雄懸賞小論文コンクール」の表彰式」が都内で開催され経営者、大学教授、研究者、学生ら100人以上が出席した。SAMはSociety・for・Advancement・of・Managementの略で、「科学的管理法の父」と呼ばれるF・W・テイラーの独創的な原理を普及するために1912年に米国で設立された「テイラー協会」を源流とする世界で最も由緒あるマネジメント研究団体であり、米国内と世界の各地に200を超えるチャプターと称する組織を運営している。SAM日本チャプターは初めての海外チャプターとして1925年に設立され、現在は東京、大阪、名古屋に支部を置き、毎年全国で40回を超える例会(研究会)を開催している。

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私はSAM日本チャプターの名誉会長を務めている。このコンクールは次世代を担う若い人たちの人材育成に積極的に取り組み、「よりよい社会づくり」の実現に貢献できればとの思いから、昨年から始めた。

今年も様々な課題に直面している企業の経営の在り方についての論文を募集。30歳未満の大学生、大学院生、社会人が対象で今年は全国から昨年(93人)を上回る103人の応募があった。14人の審査員による審査によって、立石信雄賞「AI時代に音楽を―楽器シェアによる芸術教育の推進」(日本大学商学部・伊藤耕さん)、SAM日本チャプター会長賞「ネット病院経営の構想」(近畿大学大学院商学研究科・劉●<王ヘンに月>さん)など9作品が入賞。そのうち5作品は中国、韓国、ベトナム、インド、ウズベキスタンの留学生によるものだった。

私は次のように挨拶した。

「第2回立石信雄懸賞小論文コンクール」に昨年を上回る多数の応募を頂いたことを大変嬉しく思い、応募をされた若い世代の社会人、学生の皆様に心からお礼を申し上げます。

昨年同様、今回も多くの留学生からのご応募があり、このコンクールがグローバルなものになりつつあることは非常に喜ばしい限りです。私白身、20代の頃に海外に留学をし、その時の経験や留学先で学んだことが今日までの人生における大きな財産となり、キャリアを築く礎となっています。当コンクールに応募をされた留学生の方々が、留学先の日本で小論文を書かれたことは、将来間違いなくご自身の夢を叶えられるためのお役に立つものと思います。

今、日本の企業の多くは、組織を健全に運営する仕組みであるガバナンスやCSR(企業の社会的責任)の欠如など様々な問題を抱えています。若い大たちが毎日生き生きと仕事に邁進し、国や国際社会に貢献できるような社会を築くにはどんな企業であるべきなのか。若い人たちの発想に期待して、今回も「私か経営者だったら、こんな企業や組織を作る」をテーマに掲げました。

応募原稿には真摯に日本の社会を見つめる斬新なアイディアがたくさん寄せられ、これからの日本を担う世代の豊かな想像力と挑戦心を読み取ることができて大変心強く感じました。受賞作品をすべて読ませていただきましたが、変革の時代の中にあって、時流に乗りかつ斬新で実現性のある内容でした。受賞をチャンスに知恵を生かし、将来に繋げていただきたいと期待します。

企業は人によって構成され、人の持つ価値観、世界観、行動規範によって、その大勢は決定されます。若い方たちには、ご自身の個性と創造性を大切に「活力ある社会」を築いて欲しいと願っています。

今後もSAM日本チャプターの活動が、次世代を担う若い人材育成に積極的に取り組み、「よりよい社会づくり」の実現に貢献できれば幸いです。

表彰式の後、藤原歌劇団・日本オペラ協会の協力で、美しい歌声が披露され、ソプラノの鈴木美也子さん、テノールの小山陽二郎さん、ピアノの浅野菜生子さんによる「椿姫」「カバレリアルスチカーナ」「トスカ」「フニクラフニクラ」などの歌曲が会場を包み込んだ。プロ歌手の生の歌声を初めて聴いたであろう留学生はもちろん、ご出席いただいた経営者や大学教授の方々も感動された様子だった。皆、平和の尊さと人間の尊厳を改めて認識することができたと思う。

また103点の論文を読んでつくづく感じたのはAI(人口知能)、ロボットの時代とは言え、気づき、知恵、感性は生身(なまみ)の人間でなければ生み出せないものであるということであった。

<直言篇31>

■立石信雄(たていし・のぶお)

1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現オムロン株式会社)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。 日本経団連・国際労働委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC=企業市民協議会)会長など歴任。「マネジメントのノーベル賞」といわれるSAM(Society for Advancement of Management)『The Taylor Key Award』受賞。同志社大名誉文化博士。中国・北京大、南開大、上海交通大、復旦大などの顧問教授や顧問を務めている。SAM(日本経営近代化協会)名誉会長。公益財団法人日本オペラ振興会常務理事。エッセイスト。

■筆者プロフィール:立石信雄

1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現オムロン株式会社)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。 日本経団連・国際労働委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC)会長など歴任。「マネジメントのノーベル賞」といわれるSAM(Society for Advancement of Management)『The Taylor Key Award』受賞。同志社大名誉文化博士。中国・北京大、南開大、上海交通大、復旦大などの顧問教授や顧問を務めている。SAM(日本経営近代化協会)名誉会長。エッセイスト。

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