<点描・北京五輪>朝倉浩之の眼・開幕式直前(1)溢れる国旗、デモも?

Record China    2008年8月11日(月) 19時5分

拡大

北京五輪の開会式まで、あと2時間と迫った今、この原稿を書いている。韓国メディアの漏出事件で少しケチがついたものの、13億の中国人のみならず、世界が注目している大イベントとなっている。写真は開会式前の「鳥の巣」付近。

(1 / 4 枚)

■■■■■2008年8月8日 ■■■■■

その他の写真

北京五輪の開会式まで、あと2時間と迫った今、この原稿を書いている。10万人が競演するパフォーマンスは?聖火の最終ランナーは?テロの危険は?などなど、韓国メディアの漏出事件で少しケチがついたものの、13億の中国人のみならず、世界が注目している大イベントとなっている。

そんな開会式を目前に控えた8日朝、天気は予報どおり曇り。太陽は時折顔を見せるものの、結局一日中、いつ雨が降ってもおかしくない天気となった。開幕まであと2時間。このまま天気は持つのか…うわさの「人工消雨」作戦が実行されるのか…という別の見所も?ある。

今大会こだわってみていきたいと考えているソフトボールの会場に顔を出した後、昼2時過ぎに開会式の会場、国家体育場があるオリンピック公園に向かった。いつものように、最寄の地下鉄を出ると、すぐ、いかめしい顔の警官が封鎖していた。今日は朝10時半から、国家体育場の周囲1キロが完全封鎖。関係者以外立ち入り禁止となっている。

これにより、別の建物が死角になり、国家体育場が全く見えない。いや、全く見えないところであえて、封鎖線を設けたのだろう。これで花火の打ち上げや華やかなレーザーショーを外から鑑賞することはできない。周辺の警備の問題もあるだろうが、外からでさえ、雰囲気を楽しむことができないように「意地悪」する当局のやり方は賛成できない。関係のない市民を締め出そうという意図が見えてくる。例によって、「市民不在」である。

だが、周囲の熱気は、そんな不合理を吹き飛ばすようなものだった。会場周辺には、すでに5時間前から、無数の市民が、少しでもオリンピックのムードを味わおうと集まってきていた。

ミニ国旗を振る人、大きな国旗を体に巻いている人、行き交う人の会話のところどころに「アオユン(五輪の意味)」という言葉が出てくる。

しばらくすると、「がんばれ中国!」「がんばれ!五輪」というシュプレッヒコールを挙げる集団が近づいてきた。近くの大学生が1000人規模の集団となって、スローガンを叫び、中国国歌を合唱しながら、行進している。まるで政治デモのようだが、主張しているのは「オリンピックの成功」。少しでもオリンピックの成功と愛国心を示したいという若者たちの行動だろう。彼らの触発され、歩いていた市民が次々と列に加わり、デモはどんどんと大きくなる。集団行動をするには当局の許可が必要だが、どうも許可を得たもののようには思えない。コースは行き当たりばったりで、住宅街や国道沿い、商店街を練り歩く。

“デモ隊”は、警察が封鎖するラインにやってきた。やっていることは「違法」なのだが、叫んでいるのは、今日まさに始まる五輪の成功であり、警官たちも止めることができない。若い力におされ気味になりながら、とりあえず、コースを変えるように説得し、デモ隊はそれに応じて、コースを右にとった。それにしても、鬼気迫る表情でスローガンを叫ぶ姿は2004年の反日デモを思い出させる。だが同時に、私自身も含めて、今の若い世代にこうやって集団で愛国心や自分の意思を示す行動力があるかどうか…これもまた北京五輪を前にした熱気あふれる町の風景の一つといえるだろう。(続く)

<注:この文章は筆者の承諾を得て個人ブログから転載したものです>

■筆者プロフィール:朝倉浩之

奈良県出身。同志社大学卒業後、民放テレビ局に入社。スポーツをメインにキャスター、ディレクターとしてスポーツ・ニュース・ドキュメンタリー等の制作・取材に関わる。現在は中国にわたり、中国スポーツの取材、執筆を行いつつ、北京の「今」をレポートする中国国際放送などの各種ラジオ番組などにも出演している。

この記事のコメントを見る

ピックアップ



   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業務提携

Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら

業務提携