<点描・北京五輪>朝倉浩之の眼・開幕式直前(2)市民の熱気すごし!天安門にも市民殺到

Record China    2008年8月12日(火) 10時57分

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天安門広場の南側、前門にやってきた。広場では、開会式の際、花火が打ち上げられることになっており、全て立ち入り禁止。それどころか、広場側の道を歩くこともできないし、地下鉄「天安門東駅・西駅」も列車が停車しなくなってしまった。写真は開会式前の天安門広場周辺。

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そのあと、天安門広場の南側、前門にやってきた。広場では、開会式の際、花火が打ち上げられることになっており、全て立ち入り禁止。それどころか、広場側の道を歩くこともできないし、地下鉄「天安門東駅・西駅」も列車が停車しなくなってしまった。

それでも、すでに3時間前から、ここでのイベントを楽しみにして、大勢の市民が、封鎖ラインぎりぎりに陣取り、開会式を今か今かと待っている。

前門は昨日から、明清時代の街並みを再現した大通りが公開され、多くの人々でにぎわっていた。今日は北京中の企業や国営機関がいっせいに休暇となり、市民はいっせいに町に出てきている。共通しているのは、誰もが国旗をもち、楽しそうにそれを振りながら歩いていること。祖国が初めて開く世界最大のスポーツイベントに対する期待に溢れているという感じだ。

この原稿を書いている間に、もう開幕式まで、2時間を切った。私自身もこの3年間、オリンピックに向け発展する北京と中国スポーツの動向について取材し、日本、中国で報道する仕事をしてきた。いよいよ、その「本番」がやってくると思うと、身が引き締まる思いがする。ラジオ、ネット、新聞・雑誌など様々な機会をいただきながら、北京五輪の様子を日本メディアとは一味違った角度でお伝えしていきたいと思っている。

そのとき、一つだけ、私自身の抱負を明らかにするとともに、この文章をごらん頂いている方にお願いしたいことがある。

北京五輪とは何か…と問われれば、日本に住む多くの人たちが「中国の国家宣伝」「国威発揚」「経済発展のため」など「国家」を基準にした否定的な見方をする人が多い。もちろん、そういった側面があることは否定しない。だが、同時に北京五輪の向こうに、大勢の名もない人たちの努力があることを忘れないでほしい。私は五輪テスト大会の取材を通じて、多くの運営スタッフ、ボランティアの昼夜を問わない仕事ぶりを見てきた。彼らの努力があってこそ、世界最大のスポーツ大会を私たちも楽しむことが出来るのだ。

どこかの大手新聞社は今回の北京五輪の報道姿勢について、「中国が五輪を開く資格があるかどうか」を見極め、「問題点を見つけていく」ことに重点をおいているという。だが、その矛先が「中国」ではなく、「中国人」に向かっていくならば、そのような“上から目線”で隣国の人々を見るのは明らかに間違っている。

いろいろな見方があってもいいと思うが、「批判・言論の自由」は権力に向かうべきであり、隣人の庶民に刃を向けるようなことがあってはならないと私は考える。だが、日本メディアはときおり、中国の一般庶民の生活や習慣への容赦ない批判に牙を剥く。全てが誤っているわけではないが、思い込みや偏見が作り出す「うそ」も数多く混じっている。

だから、皆さんには、報道の受け手として、バランス感覚をもち、その「うそ」を見分けてほしい。

今回の五輪を自宅のテレビで楽しむ方も多いだろう。一流のアスリートによる素晴らしいパフォーマンスもたっぷりと楽しんでほしいのはもちろんだ。

だが同時に、せっかく隣国の、しかもいろいろな意味で関係の深い中国で行われるのだから、少し、いつもの五輪と違った見方をしてみてはどうか。

それは、その素晴らしい試合の向こうにいる「無数の人たち」の努力、多くの汗を「想像すること」である。それにはかなりの“想像力”が必要になるが、決して難しいことではない。

オリンピックを本当に進めていくのは、国家主席ではないし、五輪組織委員会の役員でもない。声にならない、表に見えてこない多くの「人」である。せっかくだから、この人たちのことを思い抱きながら、世界最大のスポーツイベントを楽しんでみてはどうか。私が現地からお送りする情報がその一助となるようなものになれば、と願いながら、海を越えて、一味違う「北京五輪」をお伝えしていきたいと思う。

<注:この文章は筆者の承諾を得て個人ブログから転載したものです>

■筆者プロフィール:朝倉浩之

奈良県出身。同志社大学卒業後、民放テレビ局に入社。スポーツをメインにキャスター、ディレクターとしてスポーツ・ニュース・ドキュメンタリー等の制作・取材に関わる。現在は中国にわたり、中国スポーツの取材、執筆を行いつつ、北京の「今」をレポートする中国国際放送などの各種ラジオ番組などにも出演している。

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