韓国は中国人客を大歓迎、日本人客は冷遇=旅行業界の「構造的弊害」との声も―中国メディア

Record China    2017年12月6日(水) 20時10分

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中国メディアの海外網は、韓国で「爆買い」を目当てに中国人観光客を極端に重視する現象が続いており、日本人客からは「冷遇されている」との声が出ていると紹介した。韓国国内からも同現象を「構造的弊害」と指摘する声が出ているという。写真はソウルの繁華街。

中国共産党機関紙・人民日報系国外ニュースサイトの海外網は5日、韓国では「爆買い」を目当てに中国人観光客を極端に重視する現象が続いており、日本人客からは「冷遇されている」との声が出ていると紹介した。韓国国内からも同現象を「構造的弊害」と指摘する声が出ているという。

韓国では2013年に就任した朴槿恵(パク・クネ)大統領が親中政策を加速させたこともあり、韓国を訪れる中国人客は激増した。しかし、韓国に高高度防衛ミサイル(THAAD)が配備されることになると、中国は自国にとって大きな脅威になると猛反発。両国関係は冷え込み、中国から韓国への団体旅行は17年3月を最後に途絶えた。

韓国を訪れる中国人客は、かつては中高年世代による団体旅行客が多かったが、2015年ごろには主に個人旅行をする20−30年代の若者層が訪韓中国人の過半数となるなど、中国人の韓国旅行の主力は個人旅行に切り替わっていた。しかし中国から韓国への団体旅行の途絶は、両国関係の冷え込みを象徴する出来事でもあった。

その後、11月末ごろには団体旅行が再開されるなどの報道も出始めた。一部の旅行団がキャンセルされたとの報道もあり今後の推移に不明な面はあるが、韓国では中国人客全体の増加を物語る現象とする観測が出ている。実際、11月20日から24日までの中国人による韓国入国の個人ビザ申請は前年同期比12%の2万1000件と、8カ月ぶりに増加したという。

一方で、韓国の旅行業界は中国人客の減少で大きな打撃を受けたにもかかわらず、体質は改まっていないとの指摘もある。海外網は、韓国メディアの東亜日報の5日付記事を紹介。韓国を訪れた日本人客の一人は、免税店内の各種表示が中国語だけであり英語表示すらないことや、店内放送も中国語だけ、中国の銀聯カードで決済すれば価格が割り引きになるなど、中国人だけを極端に優遇する店の方針に「中国がいくら大きな市場と言っても、私はソウルに来て歓迎されていないような感じがした」と不満を示したという。

韓国国内からも、旅行業界のビジネスモデルが中国人偏重、特に買い物による利益獲得ばかりを求める方式に硬直化しているとの批判が出ている。「THAADによる波乱がなかったら、韓国の旅行業界がどれほど退化しているか、なかなか分からなかっただろう」とする記事も発表されたという。

海外網は、韓国政府も旅行業界における中国人客偏重に対して問題意識を持っているが、業界の反応は鈍いと指摘。政府は中近東や東南アジア、欧米からの観光客も誘致する「市場多元化」という“処方箋”を提示したが、免税店関係者からは「中国人客が戻ってきた。営業のやり方を変える必要があるとは思えない」などの声が出ていると紹介した。

また、中国人客が激増した時期に韓国の旅行会社に「安売り路線」が定着したことも、業界の構造改革を困難にしている。中国人客が激減した時期に東南アジアからの客を誘致しようとしたが、「低価格」以外に旅行の魅力を示すことができず、旅行の質は低落していったという。

韓国では観光学の研究者からも、「国家レベルの意識で問題を意識して抜本的な改善方法を定めなければ、旅行業の危機が最終的には韓国の国家ブランドの退化になっていく」との声が出ているという。(翻訳・編集/如月隼人

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