人民網日本語版 2017年12月6日(水) 16時20分
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米国のトランプ大統領は就任するとすぐに、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」、国連教育科学文化機関(ユネスコ)から離脱し、米国ファーストを強調して、孤立主義を色濃くしている。
米国のトランプ大統領は就任するとすぐに、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」、国連教育科学文化機関(ユネスコ)から離脱し、米国ファーストを強調して、孤立主義を色濃くしている。しかし、米国の株市場では株価上昇が続いており、米国経済が継続的に回復しているほか、多くの投資家が、米国で今回可決された税制改革法案を買い材料と見ていることが分かる。経済参考報が伝えた。
表面的に見ると、過去31年間で最大規模となる今回の税制改革では、法人税率が35%から20%へと大幅に引き下げられ、企業に対して海外に留保してきた利益を米国に還流するよう奨励する。また、中産階級の負担を減らすために、各税金の基準の控除額がほぼ2倍になっている。
これらの政策は大きな論議も呼んでいる。米国では、トランプ大統領はやりたい放題で、米国の税収が激減して、最終的には収束が難しい債務危機が起きるのではと懸念する声や、トランプ大統領は無責任で、世界中で減税戦を引き起こしていると批判する声も上がっている。
しかし、トランプ大統領の税制改革に肯定的な見方を示す人も多く、「米国経済の再建を大きく促し、少なくとも短期的には経済発展を促進する可能性が大きく、より多くの税収を得ることにつながる」と見ている。世界にとっては、トランプ大統領の減税法案は、懸念材料であるものの、チャンスでもあり、対応を間違えると、危機的な結果になりかねない。
まず、資本の流出を刺激する可能性がある。これまでは法人税率が35%であったため、多くの米国企業が利益を海外で貯めていた。しかし、トランプ大統領が大幅な減税政策を実施すると、ドルが米国へと還流する可能性が高い。アップル社のクック最高経営責任者(CEO)は、「米国の税率が下がれば、当社の海外で貯蓄している資金をすぐに米国に戻す」との見方を公にしている。
また、減税により、米国経済をも刺激するのは確実で、連邦準備制度(FRS)が金利を上げるよう促進するため、ドルの還流が一層促されることになるだろう。それにより、他の国の資本は流失し、資本の流出が原因で経済危機となり、社会の危機、政治危機へと発展していく国さえ出てくる可能性がある。
次に、通貨危機が起こる可能性がある。ニクソン大統領の時代の財務長官・コナリー氏は以前、「ドルは米国の通貨だがあなたたちの問題だ」と語ったことがある。金融危機の際、ドルを大量に刷り、ドルを海外へ流出させることによって、強制的にお金を貸したと言える。そして、米国経済が難関を突破すると、FRSは金利を上げ、ドルの還流を一気に促進した。
金融は一国の命脈で、金融が不安定になると、国自体が不安定になるということを、多くの国がつらい経験を通して学んでいる。トランプ大統領が減税政策を実施し、FRSが金利を上げ、外資が流出すると、他の国の通貨は値下がりする危機に立たされる。値下げの動きをコントロールできなくなると、その国にとっては深刻な不確定要素となる。
しかし、それらのネガティブな可能性には、チャンスも潜んでいる。ポジティブに考えれば、プレッシャーがなければ原動力もなく、トランプ大統領が減税を実施したことで、他の国も改革を余儀なくされる。息がつまるほどのプレッシャーがなければ、改革を行おうと、真剣に考え決意することもできないだろう。この改革のプレッシャーを原動力に変えるというのは、中国にもあてはまる。
トランプ大統領が減税を実施したことで、世界中で減税ブームが巻き起こり、世界経済の動向が変わることに疑問の余地はない。世界第2のエコノミーである中国は、減税をする余地もあれば、その必要もある。外野から来た回避できないプレッシャーをうまく活用すれば、中国が世界貿易機関(WTO)に加入した時のように、中国経済が成長に拍車をかけることになるだろう。
もちろん、トランプ大統領が実施した減税が成功するかは、今後の動向を見守らなければならない。大規模減税は財政収入の減少につながり、経済に予想されたほどの活力がなければ、過度な財政赤字が、未曾有の債務危機の原因となるだろう。そうなると、世界経済は新たなショックに見舞われることになる。しかし、他の国にとっては、積極的に前へ進み、行動を起こさなければ、効果的にイノベーションの活力を刺激することもできない。また、トランプ大統領の減税政策は必ず失敗すると占えば、これ以上にないチャンスを逃すことにもなり、今後ずっと後悔することになるだろう。(提供/人民網日本語版・編集/KN)
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