2009年6月27日、レコードチャイナ・ライターによる個人ブログ「全人類の中国分析2」は、中国が世界の「精神的リーダー」の座も狙っていると論じた。

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以下は同ブログより。

■中国の「包容力」が世界平和に貢献へ―中国メディア

少し古い記事（2月配信）だが、以前から気になっていたので、紹介したい。

記事によれば、包容力こそ中国に古くから伝わる美徳であり、その最たる例は宗教で、「欧米諸国が1970年代にようやく掲げ始めた文化多元主義を、中国はとっくの昔から実践していた」のだという。国教を定め異教徒を認めない国は、争いごとが絶えないが、中国文化に深く根付く包容力は、グローバル化が進む国際社会においてますます存在感を増しており、これからの世界平和や万国共通の価値観を築く上で多大な貢献をするだろうと結論づける。

1、中国に宗教的包容力があるのか。

まず、この記事の筆者（新華社）は宗教がよくわかっていないと思われる。宗教とは、単なる心の拠り所でも、たんにご利益をありがたがることでもない。歴史から私たちが学ぶことのできる宗教とは、その人の人生に価値を付与する出来事である（マインド・コントロールは宗教としない）。それゆえ特定の宗教を信じるというのは、その価値観に立つことが前提となる。この筆者に限らず、現代の中国人と日本人全般に、それが理解しにくいのではないだろうか。

「喧嘩両成敗」という言葉があるが、この言葉の意味は、争った両方とも有罪ということである。双方ともに否定して初めてその場が収まるという考え方だ。上の記事の場合、それがこの包容力という言葉にすりかわっているに過ぎない。本人はすべての宗教を抱擁しているつもりかもしれないが、実際は、すべての宗教を否定しているのだ。無神論者は宗教間の仲裁者にはなれない。そのような国に助けてほしいと思う宗教も、ないのではないか。

2、中国の本当の狙いは？

70年代、キリスト教が相対化され、イスラム教やアジア文化の影響を無視できなくなった欧米にとって、「文化多元主義」に進む以外に道はなかった。キリスト教文明を世界におしつけることをやめ、さまざまな文明が存在すると認め、共存の道を探り始めたのだ。その文化多元主義を中国が「とっくの昔から実践していた」とは。これは恣意的な歴史解釈という言葉ではすまされない。

これは国営新華社通信の記事であり、当局の考え方を直接反映したものだ。当局は国家宣伝戦略に多少あせり過ぎたようにもみえる。いずれにしても、これは中国の自信のあらわれだろう。軍事力、経済力、そして国際政治での発言力の次は、世界における「精神的リーダー」の座も狙っていると見るのが自然である。現段階では非現実的に過ぎるが、何が起こるかわからないのがこの世界だ。この分野における中国の動きに注目していくのも、おもしろいかもしれない。

■「全人類の中国分析2」は中国ニュースを材料に、情報を正しく解読することの大切さを伝える、あるレコードチャイナ・ライターのブログ。Livedoor Blogに掲載。