Record China 2009年10月20日(火) 16時21分
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09年10月、「東京中国映画週間」が18日スタートした。中華圏のオールスターが手弁当で出演しており、新宿でのオープニングイベントには他の作品の主要キャストも詰めかけて、華やかに舞台挨拶が行われた。
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2009年10月、18日スタートした「東京中国映画週間」のオープニング上映で「建国大業」を見た。ジャッキー・チェンからチャン・ツィイーまで、中華圏のオールスターが手弁当で出演しており、当日新宿でのオープニングイベントには他の作品の主要キャストも詰めかけて、華やかに舞台挨拶が行われた。
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毛沢東、周恩来から蒋介石まで、外見も似通ったキャストがそれぞれに重厚な雰囲気を出し、戦闘、行進や大規模な集会の場面は中国らしい人海戦術で、時に記録映像を織り交ぜて実に歴史大作らしい作品となっている。レコードチャイナでも「愛国超大作」と紹介してきたが、正にその通りの内容。当然ながら中身はチャイナ100%で、縁がある者には歴史上の人物の描き方など興味深いが、ことさらに中国に関心が無い一般の日本人が見て面白いかは微妙だ。
また、作品の中では 1)国民党の一党独裁に反対する民主勢力の主張 2)民主を訴える新聞関係者の鮮烈な暗殺場面 3)冒頭を含め不必要で安っぽく見えかねないCG航空機―の3点が気になった。このうち、1の「一党独裁」と2の「報道の自由」の問題は現在も、西側から見てなお中国の課題とされるが、製作者も最大の興行収入に貢献したという中国の観客も、どのような思いだったのだろう。
▼蒋家の描き方に注目〜イケメン俳優が演じる険しい表情の経国氏
もう一つ興味深かったのは台湾に追われた蒋家の描き方だ。蒋介石は共産党側の建国の英雄たちと同様に重厚かつ大人の風格で演じられており、暗殺を平然と命ずるなど酷薄な側面はあるが外観上特にマイナスイメージは強調されていない。国共合作のきっかけとなった西安事件は省かれ、最後には天の時が自らに無いことを悟り無益な北京爆撃を中止する度量も持ち合わせていた。
やや気になったのはその息子・経国の様子だ。若き経国はイケメン俳優・陳坤が演じているが、敬愛する偉大な父のために何でもやりかねない残酷さを秘めた険しい表情で貫かれていた。その雰囲気は後年に総統となり穏やかさが強調された実際の経国氏の写真とは実に対照的だ。若き陳坤が上海の黒社会の大親分とサシで対峙して一歩も退かない場面があるが、その彼の芯の強さに、後に台湾に渡って続いた蒋家による支配、すなわち政権批判を許さない苛酷な歴史が暗示されているように感じた。ただ陳坤の役回りは見所の一つとされ、「美しい俳優」とされる彼の魅力にこの映画で初めて触れる日本の観客もいることだろう。
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普遍的な何かの刺激を得るというよりは、現代中国の60年の歴史を改めて考えるのに面白い映画かもしれない。
<映画の中のチャイナ6>(文章:kinta)
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