2009年11月10日、北朝鮮の警備艇と韓国軍の艦艇の間で銃撃戦が発生した。これを受けて中国国営テレビ・中国中央電視台(CCTV)は、国際ニュースの評論番組「環球視線」の中で、「このほどの交戦はオバマ米大統領のアジア歴訪に際し、北朝鮮が米国を刺激するためだったのでは？」とする評論家のコメントを放映した。環球時報の11日付の報道。

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韓国軍によると、10日午前11時半ごろ、朝鮮半島の西海上・黄海テチョン島付近で北朝鮮の警備艇が海上境界線(NLL＝北方限界線)を越えたために韓国側が警告射撃を行い、これに対し北朝鮮側が領海侵犯を止めず、直接照準射撃を始めたために銃撃戦となった。交戦はおよそ2分間。北朝鮮の警備艇は破損して退去した。韓国側に死者や負傷者は出ていないが、韓国メディアによると、北朝鮮側では1人が死亡、3人が負傷したとの未確認情報もある。北朝鮮は「重大な挑発を強行した」と韓国側を批難、謝罪を要求している。

この交戦の背景にあるのは何か？番組の特約評論家・宋暁軍(ソン・シアオジュン)氏はその根源を、北朝鮮がかねてより求めている米朝会談の実現だと指摘する。米側はこれまで、会談実現の前提条件として北朝鮮の非核化と6カ国協議への復帰を提示してきた。(編集部注：11日付の最新報道では、米国務省が10日、6カ国協議の早期再開を目した米朝協議のため、年内にボズワース特別代表が訪朝すると発表している) さらに、今月のオバマ大統領によるアジア歴訪においても、北朝鮮の核問題は大きく取り上げられる見込みはないため、北朝鮮側は米国の刺激を試みる。北朝鮮・朝鮮中央通信は今月3日付で「今年8月末までに、北朝鮮はすでに8000本の使用済み核燃料棒の再処理を完了した」と発表。しかし、大きな手ごたえは見られなかった。このほどの事件を引き起こしたのは、「業を煮やした北朝鮮による米国への警告との見方もできなくはない」と同氏は分析した。

現在、韓国軍における有事の作戦統制権(戦時指揮権)は米軍が所有している。もしも北朝鮮との軍事衝突に発展するならば、韓国側は理論上、必ずや米国におうかがいを立てなければならないという立場があるという点も見逃せない事実である、と同氏は指摘している。(翻訳・編集/愛玉)