Record China 2010年2月3日(水) 13時17分
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最近、中国にある取引先の工場を訪れたときのこと。稼働しているはずの生産がなぜかストップしている。理由を尋ねると、まだ2週間も先の旧正月のために多くの従業員がすでに帰郷してしまったのだという。写真は1月30日、帰省ラッシュがすでにはじまった上海駅。
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最近、中国にある取引先の工場を訪れたときのことである。稼働しているはずの生産がなぜかストップしている。稼働状況を視察しにきたのにもかかわらず、生産がストップしているのでは、こちらとしてもたまったものではない。
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すぐに工場の責任者を呼んでそのわけを聞くと、「もうすぐ春節(旧正月/2010年は2月14日)だから、みんな故郷に帰っちゃったんですよ」と困った顔で言った。多くの従業員が帰省してしまったために、工場が動かせなくなっているそうだ。
私が工場を訪れた日から春節まではまだ2週間以上もある。それにもかかわらず、従業員がみな帰ってしまったというのはどういうことなのか?その事情について責任者から話を聞くと、中国の就職事情が見えてきた。
その工場では春節3日前からを春節休暇にしようとしていたらしいが、従業員はそれに従わず、勝手に休みをとってしまったらしい。以前ならば、そのような従業員は解雇していたのだが、近年は人員不足により、簡単に解雇できなくなっているそうだ。
中国の地方にある工場では、600元〜1000元(約8000〜1万3000円)くらいの賃金で従業員を雇っている。最近の若者は学歴が高くなってきていることもあり、賃金の低い工場で働こうという人が少なくなってきている。工場としても人員の確保をしなければならないため、従業員に対して厳しい要求ができなくなっているのだ。今回、私が目にした生産ストップの状況は、まさに現在の工場事情を顕著に表わしていたと言えよう。最近、中国南部にある工場はどこも同じような状況にあると、その工場の責任者は教えてくれた。
中国の失業者数は年々増加している。しかしながら、地方の工場を見ると、人員不足が深刻な問題になっている。低コストを売りにしている工場と低賃金を望まない労働者の溝、その溝は年々深まりつつある。
1月30日付のニュースでは、すでに春節の帰省ラッシュが始まったと伝えられた。春節2週間前にして故郷に帰る労働者たち。その裏では、工場経営者たちが人材不足で頭を痛めているのだ。(男性/25歳/中国在住3年/IT関係)
※本記事は筆者の承諾を得て掲載したものです。
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